
「ガス人間」終了後、次のおもしろドラマをさがしています。この老人ドラマははたして
結論
異生物の異様感は少ないが、老いと死へのわかりやすいテーマ表現が好ましい
概要・あらすじ
『ザ・ボローズ』は、ジェフリー・アディスとウィル・マシューズが企画・制作し、ダファー兄弟が製作総指揮を務めたアメリカのSFテレビシリーズである。 本作は2026年5月21日にNetflixで配信開始されたが、同年6月にシーズン1で打ち切りとなった。
wikiより引用
ニューメキシコ州にある、人工的に作られた非法人地域で高齢者向けの居住地「ボローズ」。
新たな入居者サム・クーパー(アルフレッド・モリーナ)は、妻を亡くした傷を抱えながらここへやってくる。
残された時間をどう使うべきか、答えを見つけられずにいた彼は、入居して早々に衝撃的な出来事に遭遇する。
親しかった隣人が“未知の生物”に襲われる瞬間を目撃したサム。
このコミュニティに潜む邪悪な影、そして明かされていく真実・・。
サムはコミュニティのはみ出し者たちと協力し、超常現象の謎を追求していく。ネットより引用
感想
第1シーズンで打ち切りとなった理由は制作にお金がかかりすぎるからとのこと。お金に糸目をつけないと思っていたネットフリックスですが、そうではなかったということですね。
制作費のかかるトップ3は順に「ストレンジャーシングスS4」「三体S1」「ウイッチャーS2」です。本作は一番金のかかっている「ストレンジャーシングス」のダファー兄弟が関わっていますので、ネトフリ側もこりゃまた金がかかると考えるのも無理はありません。
砂漠の真ん中の老人ホームリゾートが舞台。町全体が老人タウンとなっているのですから規模がアメリカ的に巨大です。土地のない日本では想像しにくい舞台設定です。日本なら老人ホームの部屋単位の話の展開となるでしょうが、ここでは部屋はそれぞれ1軒の平屋の家になっています。
どこかで見たことがある魅力的な女性は「テルマ&ルイーズ」のジーナ・デイビスでした。とても老人とはいえない容姿です。ボローズ(老人タウン)の中でも自信と余裕に満ちている彼女。年下の警備員とのベッドシーンまで見せてくれますが、醜いどころか魅力的ですらある。

この老人タウンを運営するCEOの夫婦は気持ちの悪い美しさがあるのですが、この理由はエピソードが進むにつれ表面化してきます。人工的な美しさは、人間の不老不死願望の実体化したものともいえる。若いころにはわかりませんが、年を重ねてくると腰が痛い腕が上がらないなど各所に不調が出てきます。これを何とかしたいというのは人の自然な思いではあります。

アートもそうで、耳が遠く髪も白くなっている。砂漠の中で見つけた「桃」をかじると若さが戻り、その喜びたるや天にも昇る心地。その奇跡の樹がかれ果てた落胆も大きい。老人のリアルに、年金をもらえる時期になった私は納得しかりです。
迷いなく拳銃をぶっ放すジュディは実に男前。年を重ねれば重ねるほど女性にはかなわないという思いは高まります。また女性同士の集団性というか社交性というか、おしゃべりをして共に何かを楽しむ力は男性は遠く及ばないと思われます。
アートは一人ゴルフを楽しむし、サムも人とつるむ姿はあまり見ない。孤独を楽しむ男性は多いと思われます。この性情ゆえ、男性は女性より寿命は短いのかもしれません。
9月15日の老人の日を前に調査が行われ、日本の100歳以上の方が1700人以上おり、その9割が女性とのこと。
エピソードも7話にきて、ついに大団円への突入の様相を呈していました。伯爵夫人からマザーを救うように頼まれたサムは、ボローズからの脱出を計画していたジュディらを巻き込んで、マザー救出作戦に打って出ます。
ここに至って、ダフィー兄弟の出世作である「ストレンジャーシングス」を見始めました。年をとったウィノナ・ライダーや警察署長もやたらたばこをふかします。1983年の設定ですが、当時はそうだったのでしょう。少年ドラマでも時代の雰囲気を出すために容赦はないのでしょう。
マザーは背中に丸いドームを背負ってはいますが、顔は人間のおばあさん。彼女のキッズたちとはずいぶん体形が違います。収容施設から脱出する際に、ボローズ75周年のイベントに来ていた子供たちに手を振るマザー。子供好き?ところが反対の手は異様に長くて子供たちが逃げていくシーンは笑いました。

75周年のイベントの挨拶でボローズのCEOブレインはブラウニングの詩を引用します。誰もがチリとなって消えてしまうみたいな不穏な内容です。最後にそれを「ボローズは違う」と全否定しボローズの人々に喝采を浴びます。

ブレインとその妻は永遠の若さ命をマザーの体液で保っているわけですが、マザー自体はいつまでも体液を搾り取られる地獄から抜け出て、安らかな眠りにつくことを求めます。すなわちブレインが否定したブラウニングの詩こそが真理ではないのかというテーマがここで浮かび上がってきます。
手塚治虫の「火の鳥」には永遠の命を得た者が死ねない苦しみを永遠に続ける恐ろしいシーンがあります。永遠の若さ永遠の命を古来より求め続ける人間は多いでしょうが、それは本当に幸せなのだろうか。形あるものがチリになっていくことこそ本当の幸せなのかもしれません。

とても楽しめるシリーズでした。1シーズンの打ち切りは残念なような気もするし、これはこれできれいに完結していてよいような気もします。オススメ

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