ウォン・カーウァイ制作総指揮「プアン/友達と呼ばせて」タイ映画の大ヒット作 物語が重なっていく脚本の妙 美しくおいしそうなカクテル そして切ないヒットソングの数々

映画
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samon
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長崎セントラル劇場、本日最終日に行ってきました。朝の回だったので、観客は私も含めて2人でした。いつもの中央最前列のベッド状シートで楽しんできました。タイ映画は、ヒットしたホラー映画くらいしか記憶にありません。本作は、タイ映画のすばらしさを十分感じさせてくれるできばえでした。皆様もレンタルや配信などでぜひ御覧下さい。オススメです。

あらすじ

NYのバーを経営するボスのもとに、タイで暮らすウードから数年ぶりに電話が入る。白血病で余命宣告を受けたので、最期の頼みを聞いてほしいというのだ。タイに駆けつけたボスが頼まれたのは、元恋人たちを尋ねる旅の運転手。カーステレオから流れる思い出の曲が、二人がまだ親友だった頃の記憶を呼び覚ます。忘れられなかった恋への心残りに決着をつけたウードを、ボスがオリジナルカクテルで祝い、旅を仕上げるはずだった。だが、ウードがボスの過去も未来も書き換える<ある秘密>を打ち明ける-。

チラシより引用

贖罪のロードムービー

ウードが過去に傷つけた人々に会って、謝罪するという贖罪の旅。運転できないウードは、かつての友人のボスに運転を頼んで、ウードの父の残した古いBMWで旅をスタートします。まさの贖罪のロードムービー。ロードムービーには名作が多いですが、また一つタイからそれが届けられました。

ウードがかつて傷つけ謝りたい人は4人。ダンサーのアリス、女優志望のヌーナー、写真家のルイ、そして父です。出会って謝罪すると、スマホの連絡先を削除していきます。父との別れで旅は終わるはずでしたが、もう一人謝罪したい人物がいた、というのがストーリーの大きな転換点、フックとなっています。誰でしょうか。

ウォン・カーウァイ

プロデューサーのウォン・カーウァイは、大好きな香港の映画監督です。金城武主演の「天使の涙」、タランティーノが絶賛した「恋する惑星」、ボーイズラブ映画のはしり「ブエノスアイレス」などとてもスタイリッシュで美しい映画が素晴らしかった。

彼の作品から選んだ5つが、4Kレストアされて先月上映されたようです。残念ながら地方では観ることが出来ません。オフィシャルサイトはこちら。「2046」という作品にはキムタクも出ているようですね。キムタクはアジアンスターなんですね。

2013年の「グランド・マスター」以降は監督作品はないのですが、本作「プアン」のように、アジアの若手を育てる活動にも力を入れているようです。

「恋する惑星」のDVDを持っていたから観てみようか・・・。

DJである父の流した歌

ウードの父親はラジオDJで、少しなつかし目の曲を流す番組を放送していました。しかし、すでに亡くなっています。ウードは父親の番組をすべてカセットテープに録音して、それをボスとの旅の途中で流します。父親の番組が映画のBGMになっているわけです。

DJのあたたかい声に導かれて流される曲は、とてもエモーショナルで心に染みるものでした。

主人公たちの孤独なシーンに大変マッチした
One (In The Loneliest Number) / Three Dog Night
や大好きなエルトン・ジョンの曲は心に残るものでした。
Tiny Dancer / Elton John


Father And Son / Yusuf/Cat Stevens
ウードの贖罪の相手3人目は父親でした。父の遺骨を車の中から川に巻きます。上の曲はそのあたりで流れていたのかも知れません。

Nobody Knows / Apiwat Ueathavormsuk (STAMP) & Christopher Chu
エンドタイトルにはこの曲が流れます。パンチがあり題名の「誰も知らない」が何度も繰り返され、印象づけられます。この曲はタイの国民的歌手であるSTAMPのこの映画への書き下ろしの作品です。映画の感動的なラストシーンに、いいタイミングでこの曲が入ってきます。いい曲です。

タイの美女たち

この映画には、多くのタイの美女たちが登場します。男性にはとても眼福ですね。

ウードの元カノは、NYで知り合ったダンサーのアリス。プローイ・ホーアンが演じました。赤い髪のNY時代とそれをやめた現在のアリスから、時の移ろいが切なくなります。初めウードとの再会を拒否しますが、やがて受け入れウードとのすてきな時間を見せてくれます。溌剌とした若い頃、そして少し落ち着いて地元に根ざした今を演じ分けています。いい女です。

2人目の元カノは、女優を目指し、今その夢を実現させたヌーナー。しかし、演技に悩んでもいるようです。ウードとの再会は辛いものでしたが、感情の爆発が演技にも魂を入れてくれたように、スタッフたちから賞賛されます。ウードの贖罪の気持ちが伝わったのでしょうか。色白で気の強そうな目が印象的な女性です。

3人目はタイ人らしく色が浅黒い女ルン。笑顔が美しい人です。すでに別の男性と結婚している彼女は、嘘をついてウードとの再開を拒否してしまいます。

ウードにとっては苦い贖罪の旅です。それほどに彼女たちをひどく傷つけていたのでしょう。

美女はまだまだ登場しますよ。ボスの母親のタックは目が美しい若々しい女性です。結婚した資産家にはボスを弟といっているようです。母を姉と呼ばねばならないボスの心情は、彼をねじ曲げていくことに。映画にボスの物語も絡んでくるのです。

そして、ヒロインであるプリム。彼女には西洋の血が流れているのかなと思わせる美しさがあります。ボスとウードをつなぐヒロインである彼女の演技は的確で観客を映画に引きこむ力があると思いました。そして、感動のラストシーンで再会したときの夕日の中での表情が忘れられません。

samon
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評判どおりのすばらしい作品でした。ロードムービーであること、美女が次々に出てくるところ、そして中盤で大きな転換があることそして美しいカクテルなどなど、とてもよくできた作品だと思います。そう、音楽もすてきです。才気ある若手監督の手腕であり、総監督のウォン・カーウァイのプロデュースあっての結実だと思います。皆様、機会あればぜひ御覧ください。大オススメです。

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