高瀬 乃一 著「露の宿り」を読む

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samon
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「本の雑誌」書評で興味を惹かれました。久しぶりの時代小説。はたして

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結論

主人公千代乃を中心として、各登場人物をめぐる物語の巧みさ。そして最後に千代乃が知りたかった謎が解ける気持ちよさ。人情時代小説の傑作

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概要・あらすじ

2020年、「をりをり よみ耽り」で第100回オール讀物新人賞を受賞しデビュー[2]。2022年に同作を収めた初の単行本『貸本屋おせん』を刊行し、翌2023年に第12回日本歴史時代作家協会賞新人賞を受賞する[3]

2025年、『梅の実るまで―茅野淳之介幕末日乗―』で第38回山本周五郎賞候補、第31回中山義秀文学賞候補、第13回野村胡堂文学賞候補。2026年、『天馬の子』で第11回渡辺淳一文学賞受賞[1]

wikiより引用

「露の宿り」——それは、“涙に濡れる場所” 小料理屋「露くら」の娘である千代乃は、母・富の反対を押し切って駆け落ちをしたが、男に捨てられ出戻ることに。富は、千代乃と庖丁人の六郎が所帯を持ち、店を継ぐことを望んでいた。そして思わぬことから、突然露くらを継ぐことになった千代乃は、従業員、常連客との関係に悩みつつ、一人前の女将となるべく奮闘していくのだが……。

googleooksより引用

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感想

男性のようなペンネームですが、女子短大卒なので女性ですね。千代乃をはじめとする女性主人公たちの細やかな心情が見事に描かれるのもそれゆえ。

女性のみならず包丁人の六郎、小僧の忠次郎まで男性・子供も素晴らしい彫琢です。その秘密に各短編の話者の変化が大きく寄与しているように思います。小料理屋「露くら」の人物だけでなく、大工の太助、乾物屋の貞など主観の広がりは物語世界の広がりにもつながっています。

「小僧の流儀」では子供の忠次郎の話ですが、そこでは話者は千代乃になっています。もしここで子供の忠次郎自身の主観で物語が展開したとしたら、幼稚なべちゃっとした話になったかもしれません。そのへんがうまいなと思います。

でも子供がおっかあを思う心情が際立ってくるこの章は泣かされます。すぐに居眠りをする忠次郎の秘密を知ったときには涙腺崩壊です。

千代乃の母「富」は最初のほうで亡くなってしまいますが、物語の各所で想起されその情の厚さや美しさが浮き立つように描かれます。これもすばらしい。千代乃は母の偉大さに押しつぶされそうになりながらも、自分を失わず自分なりの女将を目指していく。これもいいですね。

「露くら」の使用人六郎・おなみにも物語があり、それぞれに深い。特に老舗の料亭の次男である六郎がどうして「露くら」に来ることになったのか。物語の展開は読者を納得させてくれます。

料理屋の物語ですので料理についての話も興味深い。漬ける人の手によって味が変わるぬか漬けの話。富は千代乃にぬか床を決してさわらせなかった。味が悪くなるからです。理屈はわかりませんがそういうこともあるのかもと納得してしまう。

また料理の素材の相性というものがあるように、人と人の相性が重要という話も心に残りました。

多くがまじめな登場人物が多いのですが、コミカルな人物として著名な書家の先生が登場します。この先生が死んでしまい、町の者が集まって記念碑を建てようという話が進む章はまるで落語のようでした。そういった軽妙さもわすれていないのがすばらしいところです。

そして最後の章では、千代乃がずっと気にしていた自分の父親が誰かということも明かされます。ミステリーの謎が最後に解けるようなのがとても気持ちがいいですね。

samon
samon

時代小説、人情ものいいですねえ。このジャンルも続けて読み続けていこうと思います。超おススメ!

コメント

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