「こびと株」さんと「三菱サラリーマン」さんのブログは毎日チェックしています。毎日更新され、良質の情報をもたらしてくれるからです。そんな「三菱サラリーマン」さんの最初の著書を読みました。美しい文章で、とてもわかりやすかったですね。
結論
目標を定めそこへ向けて全力で進んでいく著者の生き方が、読む人に勇気を与える不思議な投資本です。オススメ!
支出の最適化
著者は大企業「三菱」に入社当日に、30歳でFIREを目指すことを決意します。三菱という会社を「豚舎」と入社当日に判断するというのは、凡人の私にはとうてい理解できませんが、本の冒頭に記してあるのは、彼が就職前北京の大学に入学し、そこで自由な世界を経験していたという特殊性です。
実際同期の人は「これから一流企業で働けるんだ!」と期待に胸を膨らませていたそうですから。しかし海外での自由な空気を知っている著者には「普通でいなければいけない」という空気がどうしても我慢ができなかったということです。
FIREを目指す人の多くが、「今の仕事がいやだ、逃れたい」という理由のためかもしれませんので、そういう点では著者も同じであったということでしょう。しかし、「石の上にも三年」というような我慢の思想がすり込まれている私には、とうてい思いつかないでしょう。
理由はともあれ、一つの目標を決め、そこにむけて全力を注入する著者の行動力とその手法は大変参考になるものと考えます。
その手法とは、「給料の8割で高配当株・連続増配株を買っていく」というものです。給料の8割とは振り切っています。20万の給料なら毎月4万円で生活するということですよ。そうとうな節約が求められそうです。著者は節約のことを「支出の最適化」といいます。せちがらさがなくなりいい呼び方です。
支出の最適化として著者が楽しみながら行った15が上げてあります。私も実践しているものもたくさんありました。「ペットボトルは買わず、水筒持参」「書籍は図書館で」「ジムは公共施設で」「コンビニで買わない」「買い物カートは使わない」「支払いはクレカ」「保険に入らない」などです。
この他、これからやってみたいのは「階段をエクササイズの機会と考える」「株主優待活用」ですね。
配当金ゲットに集中
もっとも効率的に資産形成するのに一般的に取られる手法が「インディックス投資」です。山崎 元氏も「もう、インディックス投資だけで買ってほったらかしておけばOK」と言っています。両学長やこびと株さんらは「インディックス投資+高配当株投資」の二刀流です。
著者の場合は「高配当株、連続増配株」に全注力という点が新鮮でした。そこで得られる配当金が生活資金を上回れば経済的自由が訪れます。配当金だけで生活していけるわけですから、会社で働く必要がなくなる。著者はそこを目指しました。
「配当金という定期的な不労所得・キャッシュフローを増やす上で、核心的に重要な要素の一つが『入金力』です」(P92)
支出を最適化し、できるだけ多くの余剰の資金(彼の場合給与の8割)を高配当連続増配株に投入というのが著者の手法です。
通常高配当連続増配といえば、国内の個別株を考えるか、あるいは米国の高配当ETFなどを考えますが、著者の場合は海外の個別株を買っています。ここもちょっと変わっています。
多くの企業に分散投資してリスクを下げる優良なETFが米国には多くあります。それを買うのが通常です。国内株の場合この優良なETFがないために、日本の個別株を買うことになるのですが。著者の場合米国の個別株への投資が述べられています。米国の個別株に投資する場合は参考となります。
VIX指数
個別株やETFの場合、その買い時が重要です。暴落などで、割安の時にたくさん買うという戦力です。この買い時がなかなかわからないのですが、本書ではそのめやすとして、「VIX指数」があげられています。
「VIX指数」は「恐怖指数」ともいい、人々の不安が高まるとこの指数が上がります。本書では、このVIX指数と株価のグラフが示され、見事に暴落時にVIX指数が高くなっていることがわかります。
つまり、VIX指数が高まったときが買い時ということになります。これは分かりやすい指摘でした。参考にします。
投資に関する実用書でありながら、私は著者の文章に柔らかさ優しさ品格を感じます。そして彼の生き方生き様にも共感できるものが多くありました。それらが本書をより良書にしていると思います。ぜひ読んでみてください。彼の第2書籍「#シンFIRE論」もぜひ読んでみたいと思います。
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