ぼんくら

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目が良く見えるようになりました。新しい世界である。これまで強い近視のために、めがねのレンズで見る物はどれもとても小さく見えていた。スーパーで買い物したときの、いつも買っているパンの大きいこと!TVの画面もパソコンモニターも素晴らしく大きくくっきりと見える。何より楽譜がはっきり見えるのが嬉しい。指番号まで明確に、もちろん楽譜が大きい。医学の進化に大感謝だ。さて、よく見える目で本の活字をどんどん追っていくうちに、宮部みゆき著「ぼんくら」を読了した。一大時代ミステリーだ。長屋の店子が様々な理由で長屋を離れていくのを、一軒一軒のエピソードとして初めに描き、なぜ店子が欠けていくのかというその謎を解き明かしていく長大な(全体の2/3を占める)「長い影」、最後にエピローグのような「幽霊」というエピソードを置く。その構成が素晴らしい。もちろんキャラクター造形は宮部の真骨頂だ。同心平四郎、弓之介、おでこ、お徳、おくめ、佐吉・・・。読後には、女の嫉妬の怖さとそれに振り回される男の哀れさが、多くのキャラクターたちの真ん中で立ち上がってくる。

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