サン・ジョルジュ「バイオリン協奏曲」を瀬崎明日香のソロで聴く

Classic
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毎年楽しみにしているジュニアオーケストラをバックにした瀬崎明日香さんのソロによる演奏。今年は長崎初演の変わり種

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結論

今年もすばらしい演奏で耳の幸せをいただいた。サン・ジョルジュという黒人とのハーフの作曲家を初めて知り、瀬崎氏独自の工夫も入ったコンチェルトはたいへん楽しめた。来年もよろしく。

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概要

東京藝術大学附属音楽高等学校を経て同大学を首席卒業。パリ国立高等音楽院大学院修了。文化庁派遣芸術家在外研修員として、R.パスキエ、J.J.カントロフ、C.イヴァルディ各氏のもとで研鑽を積む。
スペシャルオリンピックスのコバケンとその仲間達オーケストラのコンサートミストレスを務める(活動がドキュメンタリー映画”天心の譜”として公開される)他、株式会社ネイチャーズウェイの環境基金顧問を務める等、チャリティー、アウトリーチ活動も積極的に行う。

’07年ALMコジマ録音よりイザイ無伴奏ソナタ全曲(レコード芸術特選)、’08年サンサーンス作品集をリリース。ロームミュージックファンデーションの研修後、引き続きローマのフェリックス・アーヨ氏のもとで研鑽を積んでいる。

オフィシャルHPより引用

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感想

瀬崎氏が中央に立ち、弾き振りとまではいかないが小さな身振りで音楽をリードしていく形態になって久しいが、共演する子供たちの演奏が明確に変わるのをいつも感じます。瀬崎氏の音楽的オーラがソロとオーケストラを一つの音楽の塊に変える力があるのではないかと思っています。

ソロが出てくるまでの序奏は瀬崎氏もオーケストラと一緒に演奏。音楽の始まりを積極的にリードしていきます。これは子供たちも安心するでしょう。

そしていよいよソロの登場。張りがあり豊かな音色の音が響きます。この会場(市民会館文化ホール)は実は最悪な会場であり、響きは少なく、何よりホールの上に体育館があり、体育館のドスドスいう音が微妙に天井から漏れてくるのです。

ドスドスが大きくなるたび、気になっていたのですが、このコンチェルトの間はどうもそのことを忘れて音楽に巻き込まれていたようです。それほどに魅力的な演奏が展開していたということでしょう。

特に第3楽章におもしろい試みがなされました。前半と後半に1か所ずつカデンツァのようにソロだけになる場面があるのですが、そこに何と前半はジョプリンの「エンタティナー」後半には「アメイジング・グレイス」を配したのです。これはもう瀬崎氏の独創としか思えません。

そういえばこの曲にはバイオリンコンチェルトにつきものの、カデンツァがありません。しかも第3楽章はけっこう同じ楽想の繰り返しのような音楽なので、このような工夫に至ったのかもしれません。この独創のおかげでこの曲はとても印象に残るものとなりました。

万雷の拍手に応えてアンコールが演奏されました。バイオリンソロでなく長崎OMURA室内合奏団のチェリスト下田氏とのデュエットでした。二つの楽器の親密さとスリリングな掛け合いが楽しめました。

サン・ジョルジュという作曲家は名前も曲も今回初めて聴きました。白人の地主の父と奴隷の黒人の母との間に生まれたハーフという出自をもっています。バイオリンを学び、100人のオーケストラのコンサートマスターを務めたということは、奴隷の子とはいえ父親は大切に育てたと考えられます。

現代のオーケストラでも黒人や黒人のハーフのコンサートマスターというのは見たことがありません。フランス革命前後のフランスというのはその辺に寛容な国だったのでしょうか。

黒いモーツアルトと呼ばれた彼の特殊性はテレビ映画やドキュメンタリー、さらに映画作品で近年映像作品として公開されているようですが、全然知らなかったですね。

samon
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今年も瀬崎氏のすばらしい演奏を楽しむことができました。彼女の存在や演奏がジュニアオケの子供たちに影響を大きく与えることは間違いありません。今後も毎年長崎にやってきて子供たちを育て、そして私たち民衆の耳も潤してくださるようお願いしたいと思います。

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