
セントラル劇場毎週観賞。第3弾は「ブルームーン」バーの中の会話劇ははたして
結論
全編しゃべくりまくるイーサン・ホークの演技のすばらしさ。脚本の見事さ。美しい紅一点。映画を観る満足度満点。
概要・あらすじ
海外ではすでに絶賛の嵐。「切なく、ユーモラスなバレンタイン」「知性と魂の賛歌。ホークはその全てを体現した」と評され、各国の映画祭で22ノミネート・8受賞を果たした。さらにゴールデングローブ賞では作品賞と主演男優賞の2部門にノミネートされ、本年度アカデミー賞でもオリジナル脚本賞、主演男優賞の2部門にノミネートされ、受賞への期待が高まっている。
主人公ロレンツ・ハートを演じるのは、名優イーサン・ホーク。叫ぶように、囁くように、歌うように——ハートの繊細で複雑な心の動きを、鮮やかに体現する。ハートが想いを寄せるエリザベス役には、映画『サブスタンス』で鮮烈な存在感を放ち注目を集めたマーガレット・クアリーや、本作でベルリン国際映画祭・助演男優賞を受賞したアンドリュー・スコットら名優が名を連ねる。実力派キャストが紡ぐ一夜は、切なさも痛みもすべてユーモアへと溶け込み、観る者の胸に余韻を残す。公式HPより引用
「ザ・レディ・イズ・ア・トランプ」「マイ・ファニー・ヴァレンタイン」などの大ヒット曲を生み出してきた作詞家ロレンツ・ハートは、長年タッグを組んできた作曲家リチャード・ロジャースが、ハートに代わる新たな相棒と組んで手がけたミュージカル「オクラホマ!」が初演された1943年3月31日の夜、ブロードウェイのレストラン「サーディーズ」で行われたパーティに招待されていた。そこで過ごす一夜でハートは、愛や嫉妬、焦りや憧れなど、交錯する自身のさまざまな感情と向き合っていく。
ネットより引用
感想
「くそっ」と言って雨の中、路地の隅で倒れる男。最低の最期を見せた後、主人公ロレンツ(ラリー)・ハートの生き生きとした怒涛のしゃべくりが最後まで続くという映画でした。
彼のようにずーっとしゃべっている人って確かにいます。私は1人は知っています。そうとう頭いいんだろう感心していました。ラリーもそうなのでしょう。
ラリーのしゃべりまくる中身は、知性とポエジーに満ちてもいます。彼のロジャースとタッグした作品をもっと知っていたらさらに楽しめることでしょう。
曲に関して言えば、バーのピアニストが奏でる曲も同様にもっと知っていたら。私は「アズ・タイム・ゴーズ・バイ」ともちろん題名の「ブルームーン」くらいしか知らなかった。「マイ・ファニー・バレンタイン」はジャズで定番ですね。「オクラホマ」も題名しか知らない。つまり、私の時代より一つ前の時代の音楽というわけです。
この背の低いおっさんが、バーテンダーや客、そしてロジャースというみんなおっさんたちと会話する映画ならば「うーん」という感じですが、そこに紅一点輝くヒロインがいるからこそこの映画は楽しくなってきます。映画はやっぱり美女を観るのが男性客の目的のひとつ。
本作では二十歳の学生役をマーガレット・クアリーが演じます。長身細身で美しいブロンドは本当に魅力的。どこかで見たことあるぞと思ったら怪作「サブスタンス」のスー役の子でした。この映画も若きスーあっての作品だったと思います。
クアリー嬢とイーサン・ホークがクローク室に入って語り合うシーンでは、おしゃべりのホークは聞き役に回ってクアリー嬢が自分の恋についてしゃべります。おじいちゃんに話を聞いてもらうように、素直に話すクアリー嬢とそれを嬉々として聞いているホークのこのシーンが映画の中では一番好きですね。

このクローク室をホークに貸してやるおばちゃんもいい味出してました。ホークという客を愛しているのがわかる。この店ではみなホークを愛しているのでしょう。だからこそはじめはバーテンダーはホークに酒を飲まそうとしなかった。体を案じていた。でもホークがこの上なく酒を愛しているのも知っている。だからしまいには酒をついでやる。それを本当においしそうに飲むホーク。悲しい。
盟友ロジャースとの会話は、二人の関係をこれでもかと見せてくれるとても痛いシーンでした。ラリーの才能を十分に知りながら、酒のためにめちゃくちゃな生活になっているラリーにもうこれ以上付き合いきれないというロジャースの心情もよく伝わります。

まじめで清廉な暮らしの中で名作を書いたロジャースと退廃的な生活の中で名作をつづったラリー。どちらもすばらしい。そうとしか生きられない二人の対比が見る者に刺さってくるシーンでした。
バーの中の各人とラリーの会話で見事に構成された本作に感心させられ、その脚本の見事さに驚くばかりです。
クアリー嬢がホークに男の子を紹介するシーンがありました。映画作家を目指しているジョージ・ヒルと言ってましたね。これはもちろん「スティング」「明日に向かって撃て」の名匠ジョージ・ロイ・ヒルのことですね。

映画の最後で、ホークはロジャースにクアリー嬢を紹介する。ロジャースに誘われてクアリー嬢はホークのことは忘れてしまったかのように、ロジャースについていきます。胸を締め付けられるシーンです。
このように誰かに紹介されてそれをきっかけにのし上がっていくという世界があるんだとわかりますし、みな野望に満ちている若さに憧れますねえ。つい自分の人生を振り返ってしまう。貪欲にチャンスを求め、それをつかもうとしたかというと疑われる私の人生ですね。


見事な脚本、ホークの演技。クアリー嬢の美しさ。いやあ観てよかったと思える作品でした。超おススメ!

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