諫早交響楽団 ハフナーとチャイ5 またまた名演奏を紡ぎ出すすごいオケ

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久々にオーケストラのコンサートに行ってきました。

samon
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アマチュアの市民オーケストラの演奏会ですが、とても素晴らしい感銘を与えてくれる演奏でした。私は、基本的には個々人の表現が最大限に発揮される室内楽が好きですが、この日の演奏を聴くと、オーケストラの演奏もいいなあと感じてしまいます。そんな変化を与えてくれた演奏に感謝です。

諫早交響楽団

長崎県の中央に位置する諫早市の市民オーケストラです。諫早市民のメンバーを中心にしながらも、長崎市から参加のメンバーもたくさんいました。私の友人も多く、会場では演奏前に久し振りに会話することができて、とても嬉しかったのです。

配られたパンフレットを見て驚いたのが、いわゆる企業広告が一切無かったことです。通常は、医療関係を中心に多くの企業広告で運営等資金を補完するのが常ですが、1軒も無かったのは驚きです。

このオーケストラの資金面を支えているのは、パンフレット最終ページに載っている、賛助会員の皆さんと、諫早市などの公共機関、そして団員ということになるのでしょうか。すごいです。

プログラム

今回の演奏に移りましょう。曲目は2曲。

第1曲目は、モーツアルト作曲「交響曲第35番ニ長調 ハフナー」です。ケッヘルナンバーは385。ハフナー家の祝典のために書かれたセレナードを交響曲に編曲したものです。

祝典性が残っていて、明るい曲です。

演奏は立派なものですが、コンサートスタートと言うことで、音や音楽に少し堅さを感じました。弦5部の音楽が中心となって流れますが、弦楽器にとってのモーツアルトの難しさというのを再確認する思いがありました。

私もアマチュアオーケストラに長くお世話になりましたが、モーツアルトの交響曲を演奏したことはあまりありませんでした。アマチュアは手を出してはいけないジャンルが、モーツアルトのシンフォニーなどといわれていましたが、やはり難しいんだなと感じます。

諫早交響楽団の弦楽器のみなさんは、真摯な演奏への姿勢がとても感じられました。

休憩を挟んで、メインプログラムはチャイコフスキー作曲「交響曲第5番ホ短調作品64」です。言わずとしれた「チャイ5」ですね。

チャイコフスキー「交響曲第5番」

「ジャジャジャジャーン」のテーマが、4つの楽章で有機的に使われていく曲と言えばベートーベンの交響曲第5番「運命」ですが、チャイコフスキーの5番も同様に「運命」のテーマが全楽章に登場して、曲に統一感を与えています。

しかし、ベートーベンの衝撃のテーマと違って、冒頭はクラリネットで奏される、ゆっくりした葬送曲のような旋律が「運命の主題」となります。

諫早交響楽団のクラリネットの方は大変お上手でした。音色の美しさ、小さくなっていく音の最後の最後まで神経の行き届いた美しい響きに驚きました。

演奏後に指揮者がわざわざクラリネットのところまで行って賞賛していたのが、名演の証左ですね。いやあ素晴らしかった。クラリネットは全曲に渡って明確に聞こえていました。名プレーヤーがいるといるというのはうらやましいことです。

ファゴットもお上手でした。ソロがとてもよい音量で明確に聴こえました。存在のバランスの良さが大変心地よかったです。

金管楽器もよく鳴っていました。チャイコフスキーでは、このオケの管楽器の見事さが感じられました。一緒に聴いていた仲間は「アマチュアは管楽器がもっと下手なのに、ここはうまいね」と言っていました。そのとおりだと思います。

管楽器の演奏に自信があると、様々な曲に挑戦できます。こちらのオーケストラは、マーラーやブルックナーの名演も残しています。

管楽器ばかりほめましたが、弦5部も大変すばらしかったです。特にバイオリンの音の美しさや旋律の歌わせ方には驚きました。チェロパートに旋律がまわったとき、その一体感のある音に感動しました。ビオラパートも体全体で演奏する姿が見事でした。

オーケストラ演奏の素晴らしさは、第2楽章で大きく盛り上がって、一瞬すべての音がストップしたそのときに、会場から年配の女性が思わず「すごさー」と漏らした声が、その証拠です。

諫早交響楽団はまた一つ名演奏を残したと思います。すごいオーケストラですね。

アンコール:シベリウス作曲「アンダンテ・フェスティーボ」

万雷の拍手に答えてアンコールが演奏されました。指揮者が短く話をされました。「おだやかな曲ですが、内面には熱いものがあります」

鮮烈な冒頭で始まる弦楽合奏には、美しさの中に指揮者がおっしゃるように「たぎる命」を感じさせる演奏でした。最後にティンパニが加わって、幸せな弦楽器の響きの中で曲が終わりました。もっと続いて欲しい、そんな思いでした。

samon
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諫早まで出かけたかいがありました。とても感動的な体験をありがとうございました。オーケストラのすばらしさをとても感じることができました。諫早交響楽団の次回の演奏は11月で、曲目はブルックナーの第5交響曲とのこと。楽しみです。再びの名演奏に期待をしています。

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