深き批判の物語

Drama
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4Kリマスター版「ウルトラセブン」第26話「超兵器R1号」を観ました。毎週火曜日深夜(水曜日の朝?)、2話ずつ公開中。ウルトラ警備隊は、宇宙からの侵略者に対抗するため、超兵器を開発。惑星をも破壊する恐るべき兵器だ。生物がいないことを理由に、この兵器を「ギエロン星」に発射し、効果実験をする。惑星は破壊されるが、実はこの星には生物がいたのだ。ギエロン星獣は復讐のためか、地球に飛来する。

地球を守るためなら何をやってもいいのか?モロボシ・ダンは疑念を抱いている。夜に地球に飛来した星獣は、あっけなくウルトラ警備隊に駆逐される。このシーンには、まるで原子爆弾が投下された直後の長崎の教会のような廃墟がミニチュアリングされている。星獣は再生し、東京に向かう。

セブンとの対決の場は、清流の川、そして満開の花畑である。この美しき自然は執拗に画面に映し出される。もしかしたらギエロン星の姿なのかも知れない。星獣は人類が作った超兵器の放射能をはき続ける。自分たちが作った兵器で自分たちが危険になる。愚かな人間に突きつける脚本の刃だ。人類を守らねばならぬセブンは、たぶん不本意ながら、星獣と戦う。片翼をもがれた星獣の体内からは、綿のような雪のようなものが大量に放出され、清流と花々を白く染めていく。何という色彩の美しさだろうか。戦いの場に非常に不釣り合いの色彩の饗宴。観るものに強い皮肉を感じさせる。セブンはアイスラッガーで星獣の首を切り、星獣は静かに目を閉じ、息絶える。悲痛なシーンだ。

セブンをリアルタイムで観ていた子ども時代には全然気がつかなかった、軍拡競争や人間のエゴへの強い批判のこもった物語に、今驚愕する。

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