浜松にて「竹内弦楽四重奏団」を聴く

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シルバーウイークに東京に相撲観戦からの浜松の旅に行きました。

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結論

チューニングの方法、楽曲の解析など参考になることがありました。プロの弦楽器の音をすぐそばで浴びることができた幸せ。

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概要

竹内弦楽四重奏団は、ハイドン没後200年の2009年に結成された、首都圏の芸術・音楽大学出身者によるアンサンブルです。ウィーン古典派の様式感を重んじた解釈で、弦楽四重奏本来の対話と響きを追求しています。

公式HPより引用

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感想

宿のホテルと同じ建物の中に大中のホールがあり、そこでの演奏を想定していたのですが、そうでなくすぐ近くの楽器博物館の2Fにある「音楽工房」というリハーサル室程度の広さの空間での演奏でした。

観客は30人程度でしたでしょうか。演奏者までの距離は4mほど。まさにアウトリーチ的な距離感での演奏でした。

開演の3分ほど前に、壁の向こうからチューニングの音が聞こえてきました。A・D・Gの3本の弦は4つの楽器で1本ずつ丁寧に合わせていました。E線はバイオリン二人で、C線はビオラとチェロがそれぞれやはり丁寧に合わせていました。5度の和音でのチューニングはあまり聞こえませんでした。

この方法は私たちのアマチュア四重奏ではやらないことで、真似してみたいと思いました。4つの楽器をまるで1つの楽器のようにチューニングできる感じがするからです。

モーツァルト:ディヴェルティメント ニ長調 K.136(125a)

TSQ2026 東京9/12(土)・浜松9/22(祝)/プログラム「ニ長調の変容」

K.136を「ハイドン的な4楽章形式への途上の形」として説明するのは、後の基準から遡って見てしまう目的論的な見方です。K.136は、まだ3楽章形式が一般的だった時代を代表する、貴重な1作として位置づけるべきです。その上で、ハイドンを知る前のモーツァルト自身の、イタリア経験とザルツブルクの実践に基づいた初期様式の成果として位置づけるのが妥当です。今回の演奏でも、ハイドン以降の交響曲的な重々しさではなく、もっと軽やかでイタリア風の味わいを意識したいと考えています。

同上

アマチュアがよくやるあまり難しくない定番のK136。苦労するのはセカンドバイオリンですが、さすが国立音大卒の比留間美奈子さんは楽々と16分音符をこなしていました。

シューベルト:弦楽四重奏曲 ニ長調 D94

今回の演奏方針

シューベルトの他の作品(弦楽三重奏曲など)でも見られるように、他者の手が入って改変される前の最初のアイデアの方が個性に富んでおり、改変前の方が優れていると感じられる場合があります。

今回のD94の演奏では、清書パート譜(②)だけに沿うのではなく、自筆総譜(①)に残るシューベルト自身の最初のアイデアと、それに加えられた修正の経緯の両方を踏まえた上で、①②双方を照らし合わせながら解釈を組み立てています。

同上

この演奏会のプログラムはA4コピー用紙の片面のぺら1枚で、メンバーと経歴、曲の簡単な解説があるのみです。QRコードが示され、ホームページで詳しい論考が述べられれているのが特徴です。上記の引用部分はそこからの抜粋です。

この団体が詳しい楽譜研究の上に演奏を展開しているのがわかります。シューベルトの論考は難しすぎて私には理解不能ですが、自筆譜に当たるなど曲の解析にまじめに取り組む団体であることは理解できます。

演奏に関してはシューベルトらしい旋律が美しく感じました。上3弦はプロらしいさすがの音だと感じますが、チェロは弓使いや音色はアマチュアに近しく感じました。チェロの竹内氏は経歴を見ると浜松医科大卒とあるので、もしかしたらお医者様かもしれません。もちろん昭和音大研究科を修められていますのでプロのチェリストかもしれませんが。

団体名からして竹内氏の呼びかけによるアンサンブルではないかと想像します。そして詳しい研究論考の中心にいらっしゃるのが竹内氏ではないかと勝手に思いました。違ってたらごめんなさい。

ベートーヴェン:弦楽四重奏曲第3番 ニ長調 Op.18-3

ベートーヴェン最初の弦楽四重奏曲は、なぜ「歌い出し」で主音を鳴らさないのか。冒頭のたった2小節に仕掛けられた設計を読み解きます。(中略)

ハイドンやモーツァルトの弦楽四重奏曲の多くは、冒頭で主和音をはっきり打ち出し、聴き手にただちに調のありかを告げます。同じプログラムのK.136も、ニ長調の主和音の響きの中で開始します。

ところがOp.18-3の冒頭で鳴るのは、第1ヴァイオリンただ1本。しかも弾くのは、属音イ(ラ)から下属音ト(ソ)へ、上へ七度も跳び上がる音型です。七度はオクターヴにあと一歩届かない音程で、跳んだ先の音はどこに帰着するのか、聴き手にすぐには分かりません。

さらに重要なのは、冒頭の第1ヴァイオリンが、主音ニ(レ)を避けていることです。旋律は第5音と第4音のあいだを跳ぶだけで、肝心の主音を、あたかも意図的に伏せているのです。チェロが出てくるまで、調性は確定しません。「調がなかなか定まらない」という冒頭の浮遊感は、和声が曖昧だからではなく、まず旋律が調の中心を名指さないことから生まれています。(中略)

今回の演奏方針

この冒頭を「穏やかで控えめな主題」として滑らかに流してしまうと、ベートーヴェンの仕掛けが消えてしまいます。今回の演奏では、第1ヴァイオリンの最初の2小節は、着地点の見えない問いかけとして、下3声の第3小節はその問いにはじめて与えられる地面として、対比を意識して演奏したいと考えています。第一作の第一歩から、慣習が求める明快な名乗りを2小節ぶん引き延ばし、聴き手をあえて待たせる――ベートーヴェンの四重奏の歴史は、そこから始まっています。

同上

ハイドン・モーツアルトの弦楽四重奏の巨星の数々の後に続かなければならなかったベートーベンにとってはやはり何らかの工夫を凝らすことはどうしても必要だったのでしょう。この作品を嚆矢としてベートーベンは弦楽四重奏を自己の重要な創作範囲として生涯作り続けました。そして弦楽四重奏の至宝を残してくれることになりました。

竹内弦楽四重奏団の演奏はオーソドックスで丁寧なもの。特に上3弦の練達を感じました。プロの弦楽器奏者の音を間近で聴くことができて幸せでした。

アンコールは2曲。曲目紹介はなく竹内氏が「ハイドンを」「モーツアルト」と紹介。来ている30人の観客がそれだけでわかる通ということか。アンコール曲目の表示なども確認しませんでした。

最後にメンバー紹介
第1バイオリン)印田千裕 東京芸大および英国王立音楽院卒
第2バイオリン)比留間美奈子 国立音大卒
ビオラ)松尾茉莉 桐朋学園音楽学部卒 神奈川フィル奏者
チェロ)竹内康高 浜松医科大卒 昭和音大研究科チェロ専攻修了

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演奏会後の「浜松餃子」はおいしかった!かつおの刺身が無かったのだけが残念。

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