橘玲著「幸福の『資本』論」読了しました。
結論から言って、この本は幸福になるための指針を示した良著です。図解も随所に入っており、わかりやすく、しかもおもしろく読めました。単なる思想論でなく、著者の著作ジャンルである経済の面から幸福を紐解いていきます。オススメです。
人が所有できる3つの資本が示されます。
1)金融資本
2)人的資本
3)社会資本
がそれです。
この3つの資本において、幸福な人生のための最適戦略を次のように結論づけています。
「経済的独立」を実現すれば、金銭的不安から解放され、自由な人生を手にすることができる。さらにまとめれば、金融資産は分散投資する。
以前紹介した「お金の大学」がよく売れているらしいです。両学長のyoutubeもとても楽しく勉強になります。これまでお金のことを全然何も知らずに、何もしてこなかった私が、これらの書籍や動画で、ついに投資を始めることにしたのです。
両学長はいつも言います。「経済的独立」をして、自由を手に入れよう!と。経済的な心配が無ければ、自分のしたい仕事をしていいし、仕事をしなくてもよい。それが自由だということです。経済的な独立のためには、資産を銀行に預けておくだけでは増やすことができません。そこで、お金に働いてもらう。つまり投資を始める必要があるということです。
投資の世界の鉄則として、「卵を同じかごに盛るな」というものがあります。ひとつのかごに全部の卵を入れていて、もしそのかごを落としてしまったら、卵は全部割れてしまう。複数のかごに分けておけば、かごをひとつ落としたとしても、他のかごの卵は割れずにすむということです。
つまり、ひとつのところに投資を集中させると、そこがだめになれば、大きくお金を減らしてしまう。よって、投資は様々な対象に分散して投資することが肝要となります。
子どもの頃のキャラを天職とすることで、「ほんとうに自分」として自己実現できる。さらにまとめれば、人的資本は好きなことに集中投資する。
それぞれに、子どもの頃のキャラというのがあります。リーダーの子、みんなを笑わすおどけた子、地味なまじめな子・・・。自分本来のキャラが仕事の中で生かせれば、それは天職といえます。ところが、現実はそうでなく、リーダー気質ではないのにそれをさせられたり、その逆だったり。ままなりません。だから苦しい。
書籍では、自分が本来的に一番好きなことに、全力で集中せよ、それが「自己実現」だといいます。一番好きなことって?それは子どもの頃のキャラなんだよということ。なるほど。
私は、3月で定年退職します。現在の仕事を再任用することはせず、本来的に一番好きなことをやってみようと思っています。
政治空間から貨幣空間に移ることで人間関係を選択できるようになる。さらにまとめれば、社会資本は小さな愛情空間と大きな貨幣空間に分散する。
現代で起きる殺人事件では、親殺し子殺し肉親殺しの何と多いことでしょう。憎しみは家族などの愛情空間の中でのもつれが多いのはうなづけることです。
書籍では、愛情空間は最小限のものにして、その他はお金で得られるものに代替してもらっても良いのではと提案します。
例えば、恋人ならキャバクラでの会話で済まし、セックスなら風俗でまかなう。お金が介在するが、憎しみなどは生まれようもありません。最小の小さな愛情空間さえあれば、その他の他人との関係はお金を介したものですませても良いのではないかというのです。
主観も加えながら、簡単に要約しましたが、書籍では多くのおもしろい事例をたくさん挙げながら、論が展開されていきます。ぜひ、実際に手にとって読んでみてください。幸福とお金を新たな視点でつないでいく実に興味深い著作になっていると思います。オススメです。
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