観たかった映画がAmazonPrimeVideoに登場してきました。今日は、岡本喜八監督作品「激動の昭和史 沖縄決戦」を観た。沖縄戦では、日本軍が沖縄県民を見捨てて敗走したという見方も有るが、この映画では沖縄に配備された3つの師団は必死に戦っているように描かれている。ただし、本土の大本営は完全に沖縄を見捨てるという表現だ。沖縄県民が必死で飛行場を整備したのに、大本営は航空機を送ろうとしない。1師団を台湾に振り向けてしまい、その後補充もしない。そんな非道な大本営の姿と最後まで冷静に戦おうとする参謀たちの姿が対比的だ。そんな軍人よりもなによりも沖縄県民の悲惨さは想像を絶する。自決のどれだけ多かったことか。若い学生たちの戦おうとする姿。誰も逃げ出す者はいない。これらの行為が教育によるものであることは明かだ。教育の重要さ恐ろしさを今更ながらに感じざるを得ない。そんな全編目を覆うような映画なのだが、岡本喜八の演出には、笑いが入る。例えばそれは健康的な女性看護師の姿であり、特攻を前に残した川柳であったりする。2時間26分もの悲惨な作品を見続ける際のちょっとした救いかもしれない。音楽も陽気な沖縄旋法がよく出てくる。これは黒澤が「生きる」の主人公がガンの宣告をされ、とんでもない悲しみの中で、明るい音楽を使ったのとはちょっとちがうもののような気がする。映画は強烈な生きる希望を見せつけて幕を閉じる。映画のそこかしこで、どんな戦闘の中でも、その子ども{写真中央)は飄々と歩いて行き、生き延びていく。その子が死屍累々の海岸で、その子は死者の水筒を取り上げ、ごくごくと水を飲むシーンを下からとらえるショットで終わる。子どもの頭上にはさんさんと輝く沖縄の太陽が輝くのだ。観るものは何か明るい感じでエンドタイトルを見ることとなるのだ。これが岡本喜八の真骨頂なのかもしれない。
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