黒川博行著「桃源」

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16日土曜日に久し振りに図書館へ行ってきました。来館者は多かったように感じたが、席についての閲覧者は少なく感じた。長時間の滞在は遠慮するようにとの放送が流れていた。さて、新しい本たちに出会えるうれしい瞬間である。リクエストをかけていたものが1冊届いており、さっそく読み始める。500ページ越のハードカバー。これが、引き込まれ一気に200ページ近くを読んでしまった。黒川博行著「桃源」がそれである。表紙には、琉球衣装に身をつつんだ女性のこちらをまっすぐに見つめる白い顔の絵が描かれている。現代の桃源郷=沖縄ということかな?などと思いを膨らませながらページを繰りはじめる。主人公は大阪の所轄署の二人の刑事だ。いわゆるバディ物である。沖縄出身のシュッとしたモテ男の新垣と90キロの大台を越えた痛風持ちの上坂。二人は石垣島出身の比嘉を追って、大阪の聞き込みから、沖縄本島、奄美、石垣島へと捜査を進めていく。いわゆるロードムービーならぬ、ロードノベルなのである。情景描写はほとんど無く、登場人物たちの会話で物語が進められていく。いわば、シナリオに近いものがある。故にページの余白も多く、ページを繰るスピードも速くなるのだろう。この二人の会話が最高におもしろいのである。特に上坂は、よく食べよく飲む。うまい物の店をゆく知っており、彼らが昼に夜に食べる食事はグルメリポートばりにうまそうなのである。さらに、上坂は映画通。次々におもしろい映画の話しが飛び出してくる。そして過去の女の話。上坂がぼけで新垣がつっこみの漫才珍道中捜査が実に軽快軽妙なのである。物語は中盤に入り、どんな変化が起きるか楽しみである。上坂の痛風の足はどんどんひどくなっていくが・・・。

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