NHK-Eテレ「Classic TV」「ストラビンスキー特集」を見ました。
ゲストは、「関ジャム」にもよく出る音楽プロデューサーの蔦谷好位置氏です。冒頭ホストの清塚信也がスーパーフライの「愛を込めて花束を」をピアノで弾きます。蔦谷氏がプロデュースした名曲です。
蔦谷氏は子どもの頃からクラシックを聴くのが好きで、特に好きな作曲家が「ストラビンスキー」というわけです。スコアを見ながら聴くという本格派です。
番組では、映画の映像で「春の祭典」の初演の大騒動を見せてくれました。詰めかけた観客が、次々に立ち上がり、「恥を知れ!」などヤジの声で大騒乱となったのです。ストラビンスキーは「あのときは本当にうるさかった」と言葉を発したそうです。いやあクールですなあ。自らの異端を楽しんでいたのでしょうか?調べてみました。
《春の祭典》初演時の暴動は、音楽や振付けの衝撃だけが理由ではなかった。当時のパリのバレエ団の観客は、美しい音楽と伝統的な演目を期待する、裕福でファッショナブルな層と、新しいものを求めるボヘミアン層の2つに分かれていた。
udiscovermusicより引用
指揮者のピエール・モントゥーは、この賛成派と反対派の2つのグループがお互いに攻撃を始めたことがトラブルの始まりだと考えていた。そのときのことについて、「使えるものはすべて我々の方向に投げられたが、我々は演奏を続けた」と語っている。
全員が大反対というわけではなかったのですね。賛成派と反対派が暴れたというわけ。このサイトの記述によれば、当のストラビンスキーは、序奏の部分で聞こえてきた嘲笑に絶えられず、舞台袖から残りの演奏を聴いていたそうです。自らへの批判を楽しんでいたというわけではなさそうですね。
バーンスタインは「春の祭典」を「20世紀で最も重要な音楽」であると語ったそうです。番組でも、蔦谷氏は現代までつながるその後の音楽に多大な影響を与えたと言います。そして、春の祭典と現代のリズムを重ねて聞かせます。ストラビンスキーが創造した革新的なリズムは、現代のグルーヴやノリというものとぴったり重なるのです。
蔦谷氏は、リズムの面の他に、和声の面での革新性にも話を進めました。「複調」といっていましたが、EとEbを同時に演奏した部分を取り上げ、長調とも短調ともつかない不穏な印象の和音を聞かせます。これが、ジミ・ヘンドリックスの「パープルヘイズ」に出てくるとの指摘がおもしろかったです。
番組は、主に「春の祭典」を取り上げていますが、最後にストラビンスキーの新古典主義の曲「イタリア組曲」で締めくくります。ここでバイオリンを演奏するのが、石田泰尚(組長)で、笑わせてくれました。だぼだぼな服に、エグザイルより激しい刈り込みヘヤーは、クラシック界のアウトロー的で、まさにストラビンスキーに重なるようです。
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