森谷司郎監督作品「日本沈没」(長崎市立図書館)を観ました。恐るべき作品である。難民を受け入れたことが無い日本が、日本人が難民になるという話である。難民の方々の姿はよくTVの画面で見かけるが、自分がその難民になるという発想は、今の日本人のほとんどにないのではないだろうか。地殻変動という天変地異で、突然にそれが訪れるのである。難民になることを拒む人もいる。主人公のひとり田所博士(小林桂樹)である。謎の黒幕渡老人である。この二人は映画の最後に日本に残る(共に死ぬ)ことを選ぶ。田所は言う。「日本が好きだ」渡老人は姪の花江(角ゆり子:美しい人です)に言う。「おまえは世界のどこかで、日本人と、いやどこの国の人間でもよい、結婚して丈夫な やや をな」たとえどこであろうと生き延びて日本人の血を絶やすなと言うのである。メインの主人公の小野寺(藤岡弘)と玲子(いしだあゆみ)も別れ別れになりながらも、地球上の彼の地で生きていることを示して映画は終了する。土地を失った民族にはきつい人生が待っていることは想像に難くない。あなたはどちらを選ぶだろうか?この映画は観るものにそれを問いかけてくる。東宝の特撮の素晴らしさも堪能できるハードなSF対策であり、いささかの古さも感じない。写真は渡老人と花江。木村文乃にちょっと似てますね。
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