お盆が近づいてきました。大林宣彦監督、山田太一原作、市川森一脚色「異人たちとの夏」を観た(市立図書館DVD)。エンドタイトルが無く、冒頭にキャスト・スタッフが出てくる昔の日本映画のスタイルを久し振りに観た。これはこれで良いものだ。懐かしいものだ。自分が子どもの頃に経験した懐かしいことは、いつになってもいいものだ。主人公が12歳の時に亡くした両親と出会うこの物語は、そんな幸せな体験の話だ。母親役の秋吉久美子のかわいらしさ、気取らないおきゃんな感じが最高だ。父親役の片岡鶴太郎も素晴らしい。そのことは日本アカデミー助演男優賞が示している。私も両親を亡くして7年となる。同じ年に二人とも逝ってしまった。今でも思い出す父母の姿は、この映画と同じように、30代くらいの元気に働くそれだ。だから今の私にはこの映画はたいへん染みる。元気はつらつと働いていた両親に今会ったら何を話すだろうか。この映画の主人公と同じように「ありがとう」しかないと思う。この映画の公開当時に感じたことと、今日感じたこととはだいぶ違うであろう。当時わからなかった主人公の心情はよくわかるのだから。これだから映画は素晴らしいと思う。ふだんあまり行っていないお墓参りにいこうと思う。
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