
隣県まで遠征しました。行ってよかった?悪かった?
結論
コンサートは最高、でも佐賀市文化会館の対応酷すぎた
概要
日本を代表するチェロリスト宮田大、ソロリサイタル。
10年来の盟友ジュリアン・ジュルネをフランスから迎えて送る待望の熊本初リサイタルです。
このひととき、お二人の響きをお楽しみください。
ネットより引用
作曲家、吉松隆の「4つの小さな夢の歌」…素朴ながらも楽器の魅力をより活かすべく、吉松自身がチェロとピアノ版に編曲した注目の作品。
作曲家、イザイによる「瞑想曲」(チェロ・ピアノ) …詩的な音楽の世界感。
作曲家、プーランクが残した唯一の「チェロソナタ」…様々変化する表情豊さも楽しい聴きどころの1曲。
作曲家、ベートーベン「チェロソナタ第2番 作品5-2」…チェロとピアノの流麗に奏でる二重奏、ソナタの醍醐味の名曲です。
同上
感想
まさに演奏直前に会場に入りました。その顛末は後ほど。佐賀市文化会館中ホール16列の一番右端の席です。チケット購入時に席の選択はできませんでした。自動割り振りでした。右端とは残念ですが、中ホールですので演奏者の視認性は悪くないです。
宮田氏が曲を解説しながらの親切な演奏会。前半は宮田とピアノのジェネル氏に関わる4曲。冒頭は日本の曲、吉松隆の「4つの小さな夢の歌」ラジオや舞台など色々な機会に書いたメロディを4つ拾い集めたミニ版「四季」で、原曲はピアノ曲。

優しい旋律の1分半から2分半くらいの曲。「歪んだワルツ」は3拍子と2拍子交互のつんのめるようなリズムがおもしろい曲。
イザイの「瞑想曲」はジェネル氏の故郷ベルギー関連での曲。ウジェーヌ・イザイはベルギー出身のバイオリニスト。無伴奏バイオリンソナタはバイオリニストの重要レパートリーですね。先日友人のチェリストがリサイタルでイザイの無伴奏チェロソナタを演奏しましたが、バイオリンソナタ同様技術的な難易度高い曲でした。
前半最後はプーランクのチェロソナタです。これはジュネル氏が現在活動しているフランスゆかりの曲ということです。実は私は今回この曲が一番の楽しみです。演奏前の宮田の解説ではこの近代の曲をイメージしやすく解説してくれました。ひとつの物語です。ある画家が初めてパリに出てきて驚く1楽章。1人の女性との出会いの2楽章。彼女とのダンスの3楽章。そして終楽章はパリの思い出をカンバスに描く画家を描いているとのこと。
わかりやすい解説はありがたいことではありますが、イメージを限定してしまう反作用もありますね。飛び跳ねるような1楽章のおもしろさそして難しい技術を宮田は楽々と表現していきます。4楽章の冒頭の豪壮な重音も非常に印象深い。魅力的な曲ですが、技術的に私には取り組むのは無理だなと思いました。
20分の休憩後、ベートーベンの2番のチェロソナタ。ベートーベンのチェロソナタはピアノパートが難しいと理解していますが、宮田はジュネルに諭された話を披露して会場を笑わせました。ジュネル「この曲の楽譜には題名として『ピアノとチェロのためのソナタ』とあるでしょう。ピアノが先に書いてある。チェロはおまけ」的な話です。
2楽章構成の珍しい曲。3番などに比べるとマイナーであまり聞くことはありません。緩徐楽章がなく、その代わり1楽章冒頭にアダージョの序奏が配置されています。ジュネルの言のとおりピアノとチェロは同等に主張し合い絡み合って見事なベートーベンの世界を構築していきます。
本作は作品番号5ですが、宮田は解説の中で「作品5にして確たるベートーベンの世界を創り上げている」と語りました。「運命のリズムが出てくる」とも言っていました。確かに2楽章の終わり頃にそのリズムは出てきました。解説の良さを感じましたね。

アンコールは3曲と大サービス。邦人作品の聞きやすい曲(題名忘れました。会場にアンコール曲の知らせもなかった)。2曲目は大河ドラマ「べらぼう」のドラマ本編の後に、その回にゆかりの地を巡る「べらぼう紀行」という短い映像があります。現在は箏のLEOのBGMがついていますが、1月から5月の前期のBGMは宮田大のチェロ演奏でした。生でこの曲をアンコール演奏。すばらしかった。
「アガル曲でコンサートを締めくくりたい」と宮田。最後にとんでもない演奏を聴かせてくれました。ピアソラのリベルタンゴの特別編曲版。ピアノのジュネルもチェロに負けじとばりばりに絡みついてきます。特にラスト近くのチェロとピアノのものすごい速さでのユニゾン。一糸乱れずしかもかなりの長い時間の2人の弾丸ユニゾンは度肝を抜かれました。
コンサートは十分満足のいく内容でよかったのですが、始まる前に酷い目に合いました。13時半からの開場でしたので、13時に佐賀市文化会館に到着。駐車場に向かう途中で車はぱったりと止まります。しばらく待つも行列は進みません。
やっと少しずつ動き出し、ガイドの職員と話ができました。ガイドの高齢の男性職員は折り曲げた紙を見ながら「臨時駐車場があるのでそちらへ止めて欲しい」とのこと。折り曲げた紙は臨時駐車場への地図のようでしたが、地図をもらうことはできず「とにかく右行って右」と雑な説明。
街に明るくない私には不安に感じましたが、前の車にも同じ説明をしたようだったので、この車についていけばいいかと、車を進めました。ところが前の車はどんどん会場から離れていくばかり。これ以上離れては歩いて会場まで行ける距離でなくなると判断して、もう一度会場に戻り詳しく臨時駐車場を聞くことにしました。
会場の駐車場はやはり長蛇の列。進む気配もありません。すでに開場が始まっており、私は焦りました。携帯で佐賀市文化会館に電話をしました。対応は、すでに臨時駐車場の埋まり、近隣の駐車場も難しいので「駅方面で駐車した方が良い」とのことでした。「駅からここまでは歩いてこれるのか」と問うと「バスか車」になるといいます。かなり距離があるとわかります。
開演までの時間はわずかです。私は佐賀駅に向かいました。駅で幸いすぐに駐車できました。タクシー乗り場で待っていましたが、タクシーはなかなか来ません。私の前後ろに数人の方もタクシーを待っています。その会話から私と同じ立場であることがわかりました。コンサートに来たが会場で駐車できず駅まで来た方です。
開演まで10分。私は再び佐賀市文化会館に電話しました。さっきの職員さんと同じ人のようでした。
「駐車場がなく、駅まできましたが、同様の方が何人のいますので、開演の時刻を少しさげてもらえませんか」
「主催者に口出しすることはできません」
「会場は何もしてくれないということですね」
「駐車場が停められない方が多いことは主催者側も共有しています」
タクシーがやっと来て、その場に居たコンサート組の方々と4人で相乗りして開演時ちょうどに会場に到着しました。席についたのが開演時刻の5分過ぎ。演奏が始まりました。主催者側は5分だけ開演を下げてくれたようでした。
タクシーの中での会話でびっくりすることを相乗りした方から聞きました。
「アリーナが文化会館の前にありますが、そこの駐車場は停められないんですか?」
「アリーナの駐車場はないんですよ。駅から歩いてきてくださいという触れ込みなんです」
絶句です。その日はアリーナでは高校の陸上大会のようなものが開催されていました。その応援に来た人たちが文化会館の駐車場に停めた可能性は大です。おまけにこの日は大ホールでもイベントが行われてていて、駐車場は完全にパンクしたというわけです。
「もともと文化会館の駐車場は狭いんですよ」相乗りの佐賀の方。
中ホールの音響はなかなかよかったのですが、この会場にはもう来れないなと思いました。苦い佐賀での思い出ができました。

西日の中駅までのバスを10分待ち、満員のバスにゆられてやっと駅まで行き、バス代駐車場代を払ってやっと帰路につきました。駐車場問題、職員のもんきり対応問題などこの会場は解決すべき問題をはらんでいると思います。演奏がすばらしかったのに会場の悪い記憶として残ることでしょう。
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