
初めて参加します。アルゲリッチの生の音とはいかに
結論
生アルゲリッチの音は、輝きと音圧が段違い。日本のメンバーも全力でがんばってます。
概要
音楽祭のコンセプト
育む
21世紀を生きる子どもたちが心豊かに暮らせる社会をつくることは、大人たちみんなの願いであり義務でもあります。
子どもたちが素晴らしい音楽にふれることのできる場を、また、音楽を志す若者たちが学ぶことのできる場を提供しています。
これからも音楽を通じて人を育んでいくことは、この音楽祭の大きなテーマです。アジア
アジアの音楽家とアルゲリッチの「出会いの場〜Argerich’s Meeting Point〜」をつくり、また音楽を愛するアジアの若者を育み、
アジアの音楽文化の中核となる音楽祭を目指します。
クラシック音楽を通してアジアのそして世界の人々との「出会いの場〜Argerich’s Meeting Point〜」を創出します。創造と発信
地域の人たちとともに創る、地方だからこその温かな「手づくりの音楽祭」を目指しています。音楽の力を信じて、より豊かな社会環境を創造し、別府そして大分の地から世界へ向けて、個性あふれる音楽文化を発信していきます。財団HPより引用
感想

竹澤恭子のバイオリンと川本嘉子のビオラの2重奏。モーツアルトの二重奏曲第1番ト長調K423でコンサートはスタートです。スポットライトの中、堂々の演奏で2本の弦楽器の音が会場に満ちます。特に川本氏のビオラの太い音はよく響いて心に残りました。
シューベルトの有名な「ます」ピアノ五重奏イ長調D667です。40分もある大曲。シューベルトの曲は長いです。だからちょっと苦手感ありますが、この曲は「ます」変奏曲が楽しみなので頑張って聴けます。
メンバーは阪田知樹(ピアノ)竹澤恭子(バイオリン)川本嘉子(ビオラ)上野通明(チェロ)池松 宏(コントラバス)残念ながらアルゲリッチはまだ登場しません。でも、日本の一級の演奏陣に間違いはありません。特に上野君に期待します。
第2バイオリンの代わりにコントラバスを置いた不思議な編成の曲です。コントラバスの効果は十分あり、重心の低い安定的な音楽作りに貢献しています。第2バイオリンがないため、例えば第Ⅰバイオリンとハーモニーを作って二色で歌うような役目はビオラに要求されます。ビオラはチェロともハモって歌うこともたびたびあり、大忙しの川本さんです。
1楽章ではコントラバスのソロ旋律も出てきます。そこ以外は目立って前に出ることはなく、裏で支える印象です。
4楽章が歌曲「ます」の主題と変奏です。バイオリンを先頭に、各楽器ないしは2本の楽器が主題を奏し、それに様々な装飾で他楽器がからんできます。後半にチェロに主題が回ってきますが、上野君の演奏は実にゆとりのある自分のものにした演奏でありすばらしいものでした。
この曲は5楽章まであって、やっぱり長いですね。
休憩に入ります。ピアノを2台にする大きな配置換えがその間になされまます。どの会場でもそうですが、女性のトイレ待ちの行列はここでも発生していました。ドリンクコーナーで少し喉を潤し、座席に戻ります。サンサーンスの舞台が整っています。

客席の灯が落ちて、日本人メンバーが舞台に登場。最後に銀髪豊かなアルゲリッチが登場です。一層大きな拍手が巻き起こります。アルゲリッチはにこやかな表情です。元気そう。
「序奏と獅子王の行進」のスタートです。アルゲリッチのトリルは音が出た瞬間から輝きがぱっとステージ一杯に広がるようです。他の楽器も加わり動物たちの祭の始まりが高らかに示されます。
コントラバスが独奏する「像」では終盤に日本の童謡「ぞうさん」を組み込んで遊んでいました。奏者の池松氏は真面目な顔で演奏していたので笑えました。上野君は笑顔をこぼしていました。
2台のピアノが交互に飛び跳ねる音型を奏する「カンガルー」第2ピアノの黒岩氏はミスタッチも聞き取れました。アルゲリッチとの共演はやはり緊張するのでしょうね。この経験を土台に今後も頑張って欲しいです。
クラリネットの中氏が退場します。出番の終わりではなく、「森の奥のカッコウ」のための演出。舞台裏の暗い森の奥からほのかに聞こえてくるカッコウの声すばらしい。最後の鳴き声のルバートも見事でした。
ピアニストを変な動物と考えたサンサーンス。そのへたくそな音階練習はCDよりさらによろめきまくって交代した第2ピアノの阪田氏もとまどうほど。
鉄琴と木琴がそれぞれ「水族館」と「化石」で使われますが、専任の打楽器奏者がついていて贅沢と思いましたが、考えてみれば終曲でこれまでの動物全員登場となるのでやっぱり2人必要なのですね。
さてチェロの上野君の独奏となる「白鳥」もうこれはうっとりとする美音で良く歌い、音楽を完全掌握していることがよくわかる演奏でした。すばらしい。
最後になりましたが、謝肉祭では竹澤氏にもう一人バイオリンが加わります。それが川久保賜紀氏という贅沢。前後しますが「耳の長い登場人物」での超高音から低い音のパッセージを2本のバイオリンが交互に奏するときに、川久保氏の安定した音程と美音が印象に残っています。
終曲は全動物登場の忙しい曲。盛り上がって曲を閉じます。全員が一体となった見事な演奏でした。万雷の拍手がホールを満たしました。
アルゲリッチもまったく衰えを見せない元気な姿でしたが、御年83歳。彼女の生の演奏を聴くことができてとても幸せでした。来年も来てください。来年はマイスキーとの室内楽を聴きたいものです。競争率は高いけれど。

時間の関係で最後の「高校生平和大使」のセレモニーは参加できず会場を辞しましたが、平和や後進の教育など未来に目を向けているアルゲリッチの態度もすばらしいですね。
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