
今週のクラシック倶楽部は弦楽四重奏がずらり。大好物。不思議な名前のこの四重奏団はさて。
結論
繊細でダイナミック。期待の若手超大型弦楽四重奏団に期待しかない。
概要
レオンコロ弦楽四重奏団 Leonkoro Quartet
ヨナタン・昌貴・シュヴァルツ(ヴァイオリン) Jonathan Masaki Schwarz, violin
アメリー・コジマ・ヴァルナー(ヴァイオリン) Amelie Cosima Wallner, violin
近衞麻由(ヴィオラ) Konoe Mayu, viola
ルカス・実・シュヴァルツ(チェロ) Lukas Minoru Schwarz, cello2022年ロンドン・ウィグモアホール国際弦楽四重奏コンクールで優勝、12 ある特別賞のうちの9つを獲得。同年フランスのボルドー国際弦楽四重奏コンクールで優勝、あわせて聴衆賞と若手聴衆賞を受賞。
2019年ベルリンにて結成。 2021年にプレミオ・パオロ・ボルチアーニ国際弦楽四重奏コンクールで最高位の第 2 位( 1 位なし、最年少)と観客賞を受賞、同年アリス・ザムター室内楽コンクールで優勝。 2022年にはロンドン、ボルドー両コンクールで優勝の他 、ユルゲン・ポント財団の室内楽賞を獲得し多額の奨学金を授与され、栄えあるBBCのニュー・ジ ェネレーション・アーティスト2022-2024に選出、MERITO弦楽四重奏賞を受賞している。
リューベック音楽大学でハイメ・ミュラーに、またマドリッドのレイナ・ソフィア音楽学校でギュンター・ピヒラーに師事。
レオンコロとはエスペラント語でライオンハートを意味する。児童作家アストリッド・リンドグレンによる「はるかな国の兄弟(英語タイトル、ブラザース・ライオンハート)」で物語が織りなす死という抗いがたい現実と、癒しと慰め に対する心からのあこがれ、という二つのテーマに共感したためである。
2023年7月、デビューCD(ラヴェルとシューマンの第 3 番)を発売。ネットより引用
感想
第2バイオリンのコジマ=小島さんではないでしょうから、彼女以外は日本人の血が流れているメンバーだと思われます。特にビオラの近衞麻由さんは近衛秀麿の次男秀健の孫ですね。アンコールにはおじいちゃんの編曲した「愛の悲しみ」が演奏されました。
さて、ラズモフスキー第1番です。2楽器の伴奏の中チェロが朗々と主題を歌います。見事に主張のある音です。ところが、チェロは伴奏に移るとすっとその主張は消えて、他の2楽器の中に混ざり合っていく。この役割分担を明確に表現できるチェロ奏者であるということですね。
内声部の第2バイオリン・ビオラにもこれはいえることで、自分が主体となるところでは強く主張されていく。4人のメンバーが同等の高い技量をそなえていることがよくわかります。特にビオラの深い音色がよく鳴っています。
第1バイオリンは、とはいえ最も高い音域で旋律を奏でることが多いのは当然のことなのですが、ことさらに突出して感じられることがない。4楽器の溶け合い混じり合いが重視されていると思われます。その柔軟で自然な歌はとても好ましいものです。
オーソドックスな編曲による「愛の悲しみ」のあと、アンコールがもう1曲演奏されます。シュルホフ作曲の弦楽四重奏のための5つの小品 より短い第1曲がそうされます。現代音楽ですが、調性はしっかりしたスピード感あふれるスリリングな曲。観客をあっといわせて印象深くコンサートを締めくくります。
クラシック倶楽部の放送ではありませんでしたが、実際のコンサートではラズモフスキーの前に、ウェーベルンとシューベルトが演奏されています。古典・ロマン派・現代曲までなんでもござれのカルテットであるとわかりますね。ウェーベルンも聴きたかった。

最後になりますが、レオンコロは左から、第1第2バイオリン・ビオラそして右にチェロの配置です。そしてチェロ以外は立奏です。チェロのイスは、背もたれのないピアノイスです。立奏の弦楽器の姿はとても美しく。若い彼らの演奏スタイルにぴったりです。

ラベルとシューマンの3番のCDが発売されていて聴きましたが、その表現の繊細さとダイナミックさの共存に驚きました。これからの活躍が強く予想される弦楽四重奏団の登場に大拍手です。日本人に関連の深い点も応援せずにはいられません。生で聴きたい!
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