パッパーノ指揮「ロンドン交響楽団福岡公演」ユジャワンの筋肉 変幻自在の音色の「巨人」

Classic
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samon
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本物のオーケストラとはこんな音なんだ!

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結論

音色の落差の大きさ、これがエモーションを産む。今年No.1のコンサート。

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概要

―英国最高峰のロンドン響 アクロス福岡に 16 年ぶりの登場
1904 年創設、伝統のサウンドを持つこの世界屈指のオーケストラを率いるのは、9 月から首席指揮者に就任するサー・アントニオ・パッパーノです。そして注目のソリストとして、カリスマピアニストのユジャ・ワンが福岡シンフォニーホールの舞台に立ちます。22 年にも亘り英国ロイヤル・オペラハウスの音楽監督を務め、英国女王よりナイトの称号も受けているアントニオ・パッパーノは、シンフォニーの分野でもベルリン・フィルをはじめとする世界第一線のオーケストラを指揮するなど多方面で活躍しています。一方、ドイツ・グラモフォンとの独占契約で名盤も多くクラシック界のスター選手と言って過言ではないユジャ・ワンは、圧巻の技巧と彼女にしか表現できない世界観をもって観る人すべてを魅了してやみません。

ユジャ・ワンの類稀な能力が際立つラフマニノフ、サー・アントニオ・パッパーノとロンドン交響楽団の新たなスタートに相応しいマーラー、アクロス福岡の30 周年を飾る必聴の公演です!

アクロスのサイトより引用

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感想

オケメンバーはかつがつステージに出てきて練習を始めます。かなり早くに出てきたコントラバス奏者は、大きな音で楽器を響きに慣らしているようです。ハイポジションでの重音も美しく響かせます。たぶん彼がマーラーの3楽章でのソロを弾くのでしょう。

ラフマニノフ/ピアノ協奏曲第1番

いつも過激な衣装が話題のユジャ・ワン。よーく見るため、今日はオペラグラス持参です。座席は上手2階なので、彼女の演奏の表情もよく見えます。

さて、期待の衣装はピンクの超ミニワンピースです。胸元まで開いていて、3本のラインが目を引きます。いつもの猛スピードお辞儀をして、いよいよラフマニノフのスタートです。

ラフマニノフ学生時代の作曲、作品1が冠されています。ロシア的な哀愁漂う旋律やオーケストラのダイナミックさはあるものの、とっちらかったバラバラ感が感じられる曲です。

ゆえにユジャ・ワンのピアノがどうなのか、パッパーノのオケの鳴らしがどうなのかよくわかりません。チケット購入時はバルトークの2番協奏曲の予定だったのに、曲が変更になったのが残念でなりません。

ユジャ・ワンのピアノアンコールはリストの「糸を紡ぐグレートヒェン」シューベルトの歌曲をピアノ独奏に編曲したものですね。この繊細さはすばらしかった。

マーラー/交響曲第1番

十分な満足が得られなかった前半に比して、この「巨人」の演奏でこのオーケストラの評価は一変します。一言で言うと、音色の変化の凄さに唖然とするということでしょうか。

1楽章

限りなく透明なフラジオレットにまず驚きます。朝の森の中、次々に鳥たちがさえずり、とんでもない柔らかな音色でチェロが歌い出します。この冒頭で完全に音楽の中に没入させられます。

2楽章

うって変わって荒々しい低音楽器の3拍子のリズム。音色の落差の大きさが半端ありません。がらっと違った世界が展開します。

3楽章

開演前から早々と音出しをしていたコントラバス。いよいよソロの登場です。はたして。いやその朗々とした音に聞き惚れます。ワルター/コロンビアだと、死に絶えそうな弱々しさでソロが演奏されますが、全く違う解釈です。

ゲットーの秘密の葬列と解釈すると、悲しみにうちひしがれたワルターとユダヤ人の誇りを忘れない朗唱のこの演奏の違い。

4楽章

シンバルやドラの衝撃の後、嵐のような弦楽器のかき鳴らし。その荒々しさ激しさ。ところが中間部のゆっくりした部分になると、打って変わってとろけるような柔らかい弦楽器。この落差の大きさが今回の演奏で一番に感じた点です。

硬軟の落差が大きければ大きいほど、人間の感情は揺り動かされるのではないでしょうか。演奏後の観客のあれほどの熱狂のブラボーは、この落差に大きな理由があるように思いました。

この激しさと柔らかさの落差は、弦楽器のみならず例えばホルンでも実現していました。管楽器や弦楽器になめらかに溶け込む第1第2ホルンの柔らかな音色の美しいこと。かと思えば、8人の奏者が立奏してトリハダ立てた豪壮なサウンド。その落差の大きいこと。それが人間の感情をかき立てるのではないでしょうか。

samon
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アマチュアであってもこの落差を目指すべきです。たいへん勉強になる、今年行った演奏会の中でピカイチの大満足のコンサートでした。10月は井上道義の「ボエーム」行くよ。

コメント

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