長崎県美術館でやっと興味がもてる展覧会が開かれました。閉会間際に鑑賞に出かけました。
結論
ゴヤの版画の小さくも緊密で不気味な世界を堪能できた。
概要
長崎県美術館と三重県立美術館が共同してスペイン美術の展覧会を開催します。両館は国内では数少ない、スペイン美術の収集と展示を標榜する美術館であり、本展では、互いのコレクションから相補的に作品を選りすぐり、未だ日本国内で広く浸透していないスペイン美術の特徴を捉え、その魅力に迫ります。
スペイン美術の入門編として100点を超える出品作品からその幅広い魅力を伝えます。本展は果てしないスペイン美術の歴史を辿るとともに、これからのスペイン美術の歩みを考えるまたとない機会となるでしょう。
オフィシャルサイトから引用
感想
水辺の森公園に立派な県立の美術館ができて、たくさん美術を楽しむぞと思ったものの、案外行く機会が少ない。興味がある展覧会がないからです。
久しぶりに見応えありそうなのが今回の「スペイン美術展」です。三重美術館との共同開催というのも充実感を感じさせます。
歴史に沿った展示はすばらしいものでしたが、特におもしろかったのはゴヤの版画でしょうか。横20センチ程度の小さなものですが、その題材がおもしろい。
版画集「戦争の惨禍」からの3作品は題名どおりの内容を、白と黒の世界故の普遍性で訴えてきます。
「闘牛士」のうちの2作品は、闘牛士が牛にやられている場面を切り取っています。
<妄>シリーズは特におもしろい。妄想の<妄>だから、ゴヤの妄想上のビジョン。「飛翔法」は翼を上下させる人が5人。翼にはひもが付いていて、両足にかかっており、体を伸ばすと翼が下がる仕組みが見て取れます。鳥人間の夢はどの時代でもあるのですね。
灰色を版画で出す技法が、不気味な薄闇の世界を現出させていて、引きこまれます。
ミロの版画も多数ありましたが、子供の落書きのようなミロの世界は私には理解不能でした。
今回のようなすばらしい展覧会がたくさん県美術館にやってくることを望みます。
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