前日譚「クワイエットプレイス デイワン」音に反応するエイリアンの侵攻 その始まりの日を癌患者の女性と英国留学生と猫を主人公に描く

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samon
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観たい映画は早めにを実践。公開週にユナイテッドシネマ長崎スクリーン4 月曜朝9:30の回に行きました。果たしてシリーズ3作目はいかに?

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結論

スピンオフにして、詩的な名作に。猫好きは必見必聴ね。

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概要・あらすじ

突如出現した“音”を立てるもの全てに襲い掛かる“何か”に支配され、崩壊した世界を舞台に、“沈黙”を守り生存を試みる家族の姿を描いたサバイバル・ホラーシリーズ『クワイエット・プレイス』の最新作。世界が沈黙した日[DAY 1]を描く今作の舞台は、これまでの田舎町から一転、「音を立てないことが不可能」な大都市・ニューヨークへと移り、主人公は1人の女性とその猫に。シリーズ最大の謎である“何か”の襲来を映し出すことで、作品は圧倒的なスケールアップを果たしている。あなたは、この絶望を生き抜けるか。

物語は、ひとつの家族を襲ったあの衝撃から471日前、世界が沈黙した日[DAY 1]へと遡る。音を立てるものすべてに襲い掛かる謎の生命体が突如として大都市・ニューヨークに襲来し、猫を抱えた1人の女性は、“即死度MAX”のサバイバルを余儀なくされる。果たしてこの街に生き残る術など存在するのか。この絶望に、彼女はどう立ち向かうのか。そして、“音を立ててはいけない”というルールに人類はいかに辿り着くのか。究極のサバイバルの先に、彼女たちが見たものとは…

上とも公式サイトより引用

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感想(ネタバレ注意)

エミリー・ブラントの強き母の物語が第1作2作とするならば、別の主人公達のストーリーであり、いわゆるスピンオフ作品です。

若いが末期癌のサミラ、通称サムは介護猫のフロドとホスピスで暮らしています。サムとフドロといえばもちろん「指輪物語(ロード・オブ・ザ・リング)」。リングの中で、サムを勇気づけるフロドという関係は、まんまこの映画でも生きています。

外出をいやがるサムですが、ハーレムの思い出のピザ屋のピザを食べに行くことを思いつき、ホスピスのバスに乗り込みます。途中墓地が映り、その向こうに高層ビルが林立していますが、遠近差によりビルはまるで墓碑のように見えます。これから向かう高層ビルのマンハッタンでの惨状を予感させます。

マンハッタンに到着したところに、エイリアンの空襲。サムたちのマンハッタン縦断地獄旅のスタートとなります。エイリアンの乗り物か分かりませんが、飛来物が落下してしばらく画面は真っ白に。30センチ先も見えない怖さ。9.11のビル倒壊もこんなようすだったろうと背筋が凍ります。

エイリアン空襲前に人形劇の劇場でサムが出会う男性は、第2作「破られた沈黙」で島の長老をしていた人で、エンディングの避難船でも登場し、後作品との接続の役割をはたしています。

エイリアン空襲ですが、マンハッタンの空に大気圏摩擦で燃えながら落下します。これがエイリアンの乗り物なのかどうなのかは描かれません。彼らの侵略システムを描くチャンスでしたが残念。興味がある部分でしたが。

エイリアンが泳げない事実が判明し、彼らをマンハッタン島に閉じ込めるために橋を空爆するシーンはディストピア映画の胸アツ場面。エイリアンがマンハッタン島だけに飛来したというのはちょっと?ですが。

サムを外出に誘った介護士は、停電となり動き出した補助の発電機のモーター音を消すことに成功し、一瞬ほっとさせますが、シャツが引っかかって裂ける小さな音が夜の闇に響き、エイリアンに殺されます。非常にうまいシーンです。自己犠牲というこの映画のテーマも打ち出しています。

朝になり、灰色の町にサムは一人歩みを進めます。ピザを食べる目的のために。公園の噴水の中に居た兄妹と出会います。水の音がエイリアンへの音の伝達を阻害するということが示されます。

非難のための多くの人々が現れ、サムは兄妹をその流れに従うよう言って別れます。兄弟とは非常に短い関係でした。人の流れが南へ向かうのに、サムはそれに逆らって北へ。なぜならハーレムは北にあるからです。兄弟との別れは必然でした。

多くの人が移動する場合音の発生は避けられず、この映画で一番の大殺戮シーンが展開します。あの兄妹も・・・と辛くなります。ただ、エンディングで島の長老は非難の船にたどり着いているので、もしかしたらの期待は残ります。

後半のサムの相棒となるエリックの登場は、水没した地下鉄の出口からいきなり浮かび上がってくるので驚きです。不自然な感もあります。彼と最初に出会うのは猫のフロドで、フロドがエリックとサムを引き合わせる役をはたします。

フロド役は2匹の猫が演じたそうですが、まあみごとな演技です。鳴かず騒がずの猫ちゃんで、普通はあり得ないのですが、介護猫という設定が少しは納得させてくれます。

英国から法律を学びに米国に来ているエリックは臆病で心優しいキャラクタ-。彼を末期癌のサムが激励鼓舞するという不思議な関係が生まれます。この関係はサムの生きるエネルギーになっていたという逆説的な展開が実におもしろい。

地下水道でのエイリアンとの追いかけも大きな見せ場です。どんどん水深が深くなる恐怖。しかし、ゆえに助かる(泳げないエイリアンが水死)というサスペンスが見事。水が嫌いな猫ですが、フロドはおとなしく抱かれています。そこはご愛敬。

水道からはき出されて、たどり着いた教会でのステンドグラスから差し込む光の美しさとキャンドルの美しさはひとときの安息を感じさせますが、麻薬パッチの薬の切れたサムはぐったり。苦痛に声を上げられない苦しみを痛いほど見る側は想像してしまいます。

臆病なエリックはサムのために麻薬パッチを一人捜しに出掛けます。エイリアンがすぐ顔の横に迫る恐怖を乗り越えさせたのは、サムを救いたいという思いあればこそ。このショットで、エイリアンの聴覚器官が映され、観客のグロ趣味も満たされます。

また、エイリアンの食事シーンが描かれているのは新味。人間を襲うのは食うためじゃなかったんかいな?エイリアンは新天地で畑を育てる開拓者だったのか?

ピアニストとして父が活躍したジャズクラブにたどり着き、ピザが食べられずに落ち込むサムをエリックが手品で慰めるシーンは名シーン。純粋で優しいエリックに生きてもらいたいとサムが確信する場面です。パニック映画に詩的なシーンを挟み込んだうまさを感じます。

大団円のサスペンスはぜひ自分で楽しんでください。お利口フロドはおとなしくエリックに抱かれています。

父とのすてきな思い出を胸に、自らの生を閉じるサム。大音量で流れてくるのはニーナ・シモンの「フィーリン・グッド」

新しい夜明けを迎えて、私がどんな気持ちかわかるかしら?ああいい気持ち。

誰もが必ず死を迎えます。そのときこんな気分でいられたら最高ですねえ。

samon
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役所広司が迎える朝とサムが迎えた死の瞬間は中身は違えど、「いい気持ち!」という思わず叫びたくなる感情は共通。毎朝をそして死の瞬間そうでありたいですね。予想外に名作と感じる本作。ぜひ劇場の大画面で御覧ください。もうすぐ終わるよ。

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