デイヴィット・グラン著「花殺し月の殺人-インディアン連続怪死事件とFBIの誕生」映画「キラーズ・オブ・フラワームーン」原作 映画も良かったが、推理仕立ての本作も読ませる

スポンサーリンク
samon
samon

マーティン・スコセッシ監督の「キラーズ・オブ・フラワームーン」のすばらしさから原作にもあたることに。語り口は違えど、しっかり夢中にさせてくれます。

スポンサーリンク

結論

映画と異なる犯人捜し要素でハラハラさせながら読ませる。挿入される実際の写真が事実であることを裏付け、ぞっとする人間の恐ろしさを強調する。

スポンサーリンク

概要・評価

1920年代初頭にオクラホマ州オーセージ郡オセージ族英語版)の土地で石油資源が発見された後に発生した連続殺人事件英語版)を調査したものである[10][11]。自身の土地で発見された石油の利権を裁判で勝ち取ったオセージ族は巨額の富を手にする。

オセージ族は「中間業者」とみなされてしまい、あらゆる手段を使って彼らを排除しようとする複雑な計画が練られる。公式には純血で裕福なオセージの犠牲者は20人程度とされているが、グランは石油との関係からさらに数百人が殺害されたと推測している[12]。本書では新設された連邦捜査局(FBI)によるこの殺人事件の調査、そして最終的に牛飼いのウィリアム・ヘイル英語版)がこの計画の首謀者として裁判にかけられ、有罪判決を受けるまでが詳述されている。

wikiより引用

ニューヨーク・タイムズ』紙に寄稿したデイヴ・エガース英語版)はこの本を「魅惑的」と評し[14]、「この最後のページでグランは既にアメリカ史の忘れられた章を魅力的かつ規律正しい記録として残し、現代のオセージ族の人々の協力を得て、あの恐怖の4年間よりもはるかに深い、病的な陰謀を照らし出している。それはあなたの魂を焼くだろう」と書いた。

同上
スポンサーリンク

感想

映画「キラーズ・オブ・ザ・フラワームーン」がディカプリオ、デ・ニーロらの加害者側の視点で描かれるのに対し、本書はFBIのトム・ホワイトを中心とする捜査側の捜査記録的な要素が強いようです。

ゆえに証拠を丁寧に集めて犯人に迫っていくあたりは、謎解き的要素が強くなり、読者をハラハラさせながら読ませていくエンタメ的楽しみもあります。

挿入される実際の写真も多く、事件の生々しさが具体的に感じられる点もいいと思います。スミス家の爆破直後のがれきの写真もちゃんと残っています。掲載される写真からこの事件が本当にあったことを裏付けています。こんな残酷なことを平気でやる人間の背中が寒くなる恐ろしさを感じます。

映画と原作の大きな差異があります。それは、本書第3章「クロニクル3」の部分です。この章は、映画で描かれたWヘイル(デ・ニーロ)やアーネスト(ディカプリオ)以外のオセージ族殺害の記録が書かれています。映画ではこの部分はありません。

つまり、ヘイルらのような悪行がその他でも日常茶飯事に行われていたことが述べられます。ヘイルが特異な悪人だったのではないのです。ヘイルのような白人がそこら中にいたということ。オセージのオイルマネーに悪人が群がってきたからでしょうか。それとも、その環境の中で悪行が当たりに行われることが醸成されたのでしょうか。

いずれにせよ、最も恐ろしいのは人間ということに間違いはないようです。

samon
samon

オセージの悲劇から人間の恐ろしさをあぶり出す本書は、アメリカの一面をも露呈させていると思います。アメリカ探偵作家クラブ賞も受賞した本書をぜひお読みください。オススメ!現在は映画公開にあやかり、原題の「キラーズ・オブ・ザ・フラワームーン」と言う書名で発売中です。

コメント

タイトルとURLをコピーしました