マーティン・スコセッシ監督最新作「キラーズ・オブ・ザ・フラワームーン」ディカプリオとデ・ニーロのスコセッシ映画初共演 あえて愚鈍の役を選んだディカプリオ

Movie
スポンサーリンク
samon
samon
スポンサーリンク

結論

8月に亡くなったロビー・ロバートソンの音楽に浸りながら、差別のもとでどんなことでもやる人間の醜さに震撼します。愚者を演じるディカプリオ、表面上の友情とその裏の悪を体現するデ・ニーロ。そして深い沼のような静けさのモリー役のリリー・グラッドストーンの演技に酔いしれましょう。必見。

スポンサーリンク

概要・あらすじ

マーティン・スコセッシ監督がレオナルド・ディカプリオ、ロバート・デ・ニーロ、ジェシー・プレモンス、リリー・グラッドストーンら豪華キャストを迎え、実話を基に描いた西部劇サスペンス。

1920年代、オクラホマ州オーセージ郡。先住民であるオーセージ族は、石油の発掘によって一夜にして莫大な富を得た。その財産に目をつけた白人たちは彼らを巧みに操り、脅し、ついには殺人にまで手を染める。

ジャーナリストのデビッド・グランがアメリカ先住民連続殺人事件について描いたベストセラーノンフィクション「花殺し月の殺人 インディアン連続怪死事件とFBIの誕生」を原作に、「フォレスト・ガンプ 一期一会」などの脚本家エリック・ロスとスコセッシ監督が共同脚本を手がけた。

2023年製作/206分/PG12/アメリカ
原題:Killers of the Flower Moon
配給:東和ピクチャーズ
劇場公開日:2023年10月20日

ネットより引用

地元の有力者である叔父のウィリアム・ヘイル(ロバート・デ・ニーロ)を頼ってオクラホマへと移り住んだアーネスト・バークハート(レオナルド・ディカプリオ)。アーネストはそこで暮らす先住民族・オセージ族の女性、モリー・カイル(リリー・グラッドストーン)と恋に落ち夫婦となるが、2人の周囲で不可解な連続殺人事件が起き始める。町が混乱と暴力に包まれる中、ワシントンD.C.から派遣された捜査官が調査に乗り出すが、この事件の裏には驚愕の真実が隠されていた……。

ネットより引用
スポンサーリンク

感想(ネタばれあり注意)

ディカプリオは当初FBI捜査官を演じる予定でしたが、愚鈍な男アーネストをやることに変更しました。

理由は主人公がFBI捜査官だと、本作が単に白人のヒーローものに終わってしまうと考えたからです。

愚鈍で言われるがまま悪に手を染めていくアーネストにあえて視点を置くことで、白人のオセージ族への搾取の姿を克明に描くことができるとの考えです。

もはや単なる美男俳優ではない映画への取り組みが感じられますね。素晴らしいです。ディカプリオは本作の共同プロデュースも担っています。

友の顔をして、とことん搾取し、挙句の果てに殺人まで指示する悪の権化ウィリアム・ヘイルをロバート・デ・ニーロがさすがの演技で魅せてくれます。

映画の中で心に突き刺さった言葉があります。「インディアンの命は、犬よりも軽いんだ」

この差別的な精神が、白人にヘイルにとんでもない行為をやすやすと行わせたのだと思います。

そう考えると差別の精神ことが恐ろしきものだと感じられます。

それと金の恐ろしさ。オセージの土地にオイルが湧き出さなかったとしたら、白人はきっとこなかったことでしょう。

金に群がり、身勝手な差別意識でどんなことでもできる、それは人間のある種の本質であることに震撼します。

エンドタイトルで「ロビー・ロバートソンの思い出に」という献辞が出ます。スコセッシの作品の音楽をいくつも担当してきた、「ザ・バンド」のギタリストロビー・ロバートソン。彼が2023年8月9日に80歳で亡くなりました。

本作の音楽を完成した後でした。スコセッシは追悼を述べています。

(前略)ザ・バンドの音楽と、それからロバートソンのその後のソロ作品というのは、この大陸と、その伝統、悲劇と、喜びの、中心の最も深い場所から鳴り響いているように聴こえました。言うまでもないことですが、彼は、偉大なる人であり、彼の音楽が与えた影響は、深く長きに及ぶものです。愛する人ともう十分一緒に過ごせたと思うことは絶対にありません。私は、ロビーを愛していました。

ネットより引用

ロビー・ロバートソンの自伝が図書館から届いています。これから読んでみます。そして、久しぶりに「ザ・バンド」のレコードにも針を落としてみたく思います。

本作はロビーのギターの叫び意外にも、たくさんの音楽に溢れた映画になっています。それも楽しい。

対比的に、エンドクレジットでは雨の音、虫の音、風の音など環境音が流れます。

映画の中でモリーが言った「嵐はとても大事。静かに過ごす」という言葉を観客はそのまま実行することになります。

情報の大海の真ん中にいるような私たち。TVやラジオ、今はスマホからの情報が気になって気になってすぐ思考を情報の中に埋没させてしまいます。自然の音の中で静かに考える。そのことの大切さをオセージ族のモリーは教えてくれた気がします。

エンドタイトルになるとさっさと帰った女性、ああ残念でした。やはり映画はエンドクレジットの最後まで体験したいですね。

samon
samon

またもやスコセッシ監督の大傑作の誕生です。映画の中でだれる部分は全くありません。3時間半の長さに躊躇せず、ぜひ劇場で御覧ください。超オススメ!

コメント

タイトルとURLをコピーしました