遅読ゆえずいぶん時間がかかりましたが、なんとか読了。いつもながらの驚きの犯人にすっかりだまされます。散らばっている証拠に途中では全然気づかないのですよね。
結論
実際の島オルダニー島の美しさを背景に、読者に公平に提示されている証拠たち、でも犯人当ては超難問。ぜひ挑戦してみて。
概要・あらすじ
『メインテーマは殺人』の刊行まであと3ヵ月。プロモーションとして、探偵ダニエル・ホーソーンとわたし、作家のアンソニー・ホロヴィッツは、初めて開催される文芸フェスに参加するため、チャンネル諸島のオルダニー島を訪れた。どことなく不穏な雰囲気が漂っていたところ、文芸フェスの関係者のひとりが死体で発見される。椅子に手足をテープで固定されていたが、なぜか右手だけは自由なままで……。年末ミステリランキングを完全制覇した『メインテーマは殺人』『その裁きは死』に並ぶ、〈ホーソーン&ホロヴィッツ〉シリーズ最新刊!
創元社HPより引用
アンソニー・ホロヴィッツ
同上
イギリスを代表する作家。ヤングアダルト作品〈女王陛下の少年スパイ! アレックス〉シリーズがベストセラーに。また、人気テレビドラマ『刑事フォイル』の脚本、コナン・ドイル財団公認の〈シャーロック・ホームズ〉シリーズの新作長編『シャーロック・ホームズ絹の家』などを手掛ける。アガサ・クリスティへのオマージュ作『カササギ殺人事件』では『このミステリーがすごい!』『本屋大賞〈翻訳小説部門〉』の1位に選ばれるなど、史上初の7冠を達成。その続編の『ヨルガオ殺人事件』も絶讃を博した。また、〈ホーソーン&ホロヴィッツ〉シリーズ『メインテーマは殺人』『その裁きは死』でも、年末ミステリランキングを完全制覇している。
感想
美しい島「オルダニー島」で繰り広げられる殺人事件。観光ミステリージャンルとして、アガサ・クリスティの後継者たるホロヴィッツの面目躍如たる作品です。
オルダニー島は人口2400人の実際の島です。英国とフランスの間のイギリス海峡にあり、ドイツ軍の砲台跡など実際にあり、物語のまさに殺人の場所となる「隠れ家」といわれるドイツ軍の施設はリアリティ抜群です。
題名の「殺しへのライン」はわかりにくいですね。殺人の動機と思われた「送電線」の線(ライン)くらいしか気づかないですね。教えて欲しい。
本当の動機となるオンラインカジノにも「ライン」は入ってますね。
名探偵ホーソーンが謎に包まれた人物であることが、本シリーズの特徴ですが、3作で徐々にヒントが出されてきています。本作ではデレク・アボットなる人物がキーパーソンとなっており、本作の悪役を演じるとともに、ホーソーンの過去を知る人物として位置づけられます。
彼からホロヴィッツへの絵はがき(古風です)に書かれた言葉がラストに出てきて、ホーソーンへの読者の関心を高めて物語は終了します。このへんうまいですね。
美しい島の風景と文芸フェスというイベントを背景に、「依存症」の恐怖と復讐というテーマも浮き立たせる見事な作品に仕上がっています。
フーダニット、犯人当てミステリーですが、超難問です。ぜひ楽しんでみてください。超オススメ!
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