楽しみにしていたコンサートです。選曲が最高。退屈と思っていたベートーベンのバイオリン協奏曲が、最後まで興味深く心地よく聴くことができました。感謝感謝!
結論
よく聴きに行くアマチュアオケ演奏会では、財政上の問題か協奏曲はなかなかプログラムに入らない。協奏曲3本のコンサートは超贅沢。しかもどれもすばらしい演奏。行って良かった。
チャイコフスキー/ロココの主題による変奏曲
独奏チェロは、N響主席の辻本玲。彼のチェロの音は明快で大きく、豪放に響き渡ります。楽器は1730年製のストラディバリ、弓はTourteを貸与されています。
超絶技巧の曲で、たびたび指板のない高い音まで駆け上がりますが、はずれることはありません。安心のテクニック。
ゆっくりの変奏の部分では、十分に歌わせ、音色もとろけるようなやわらかさに。まさに自由自在という感じです。
私の席では、最低弦のC線の響きが若干弱く感じることがありました。
ベートーベン/バイオリン協奏曲
独奏バイオリンは福岡出身で、ブラームス国際コンクール優勝の中村太地。私はこの長い協奏曲が苦手であまり聴くことがなかったのですが、今回は始終彼の繊細で丁寧な演奏に聴き惚れていました。
3月に北九州で今回のソリスト3人のピアノ三重奏演奏を聴いたのですが、そのときはチェロの音の大きさに対し、バイオリンが相対的にか細く感じていました。
しかし、今回の演奏ではその印象は大きく変わります。オーケストラと対峙してもその一つ一つの音がくっきりと聴こえてきます。もちろん辻本のような豪放さではなく、どこまでも繊細で優しい音色が、いつまでも聴いていたい気持ちにさせてくれるのです。
そして一音たりともおろそかにしない丁寧さが、音楽を大切にする気持ちとなって聴く者を揺さぶります。丁寧な演奏大好きです。ベートーベンも喜んでるだろうなあ。
彼の楽器は1738年製のグァルネリ・デル・ジュス”ソフィー・ハース”。やはり貸与楽器です。その音色の美しさは例えようがありません。天上の衣のようです。(例えてますハハ)
カデンツァでは複雑な重音演奏がすごかった。2つのテーマを明確に同時に演奏していきます。
シューマン/ピアノ協奏曲
ピアノ独奏は佐藤卓史。シューベルト国際コン1位。エリーザベト国際入賞。「生き」がいい音です。元気で闊達で、シューマンの陽の部分をよく表現してくれました。
協奏曲のポイントである、オケとの関係がすばらしい。ボリュウムの大きさがとてもいい。独奏、オケとも大きすぎず小さすぎず、両方とも明確に聴こえてきます。
リズムが難しそうな3楽章でも、独奏・オケとも一部のずれもなくとても安心しつつ、速いテンポでスリリングな曲想を楽しめました。
オケはコンサートマスターの豊嶋 泰嗣氏のリードが大きいと感じました。風貌は怖いですが、音楽は極上です。
ベートーベンであまり聞こえないなと思ったチェロパートは、シューマンでは最高のバランスで聞こえてきました。さすが市氏、そして私大ファンの櫃本さん。真っ赤なドレスすてきでした。
アンコール
それぞれの協奏曲でのアンコールはありませんでしたが、最後に3人で1曲アンコールをやってくれました。
大好きなエンニオ・モリコーネ「ニューシネマパラダイス」。いきなりバイオリンの「トトのテーマ」からスタート。トトのテーマは、中村氏のバイオリンの音色に超マッチしています。
「愛のテーマ」はチェロが演奏します。スケールの大きな辻本氏の音色と明快な音が合います。
互いに絡み合いながら展開しますが、「メインテーマ」が編曲に入っていなかったのはちょっと残念。
今年度は行くコンサート行くコンサート大当たりなのですが、中でも今回はピカイチでした。感動を誰かと語り合いたかったですが、仲間との時間が合わず、今回は一人で天ぷらをビールで流し込みながら、音楽会の感動を反芻しました。いやあ、行って良かったホントに。また、来年も来て欲しいです。福岡と長崎の架け橋(ラーク)よいつまでも。
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