映画評論家「町山智浩」氏のyoutube解説でこの映画に興味をもちました。DVDが図書館にあったのでさっそく観賞。中高生のときロックに夢中だった自分を久し振りに思い出しました。
結論
- ごきげんなロックの名曲を聴きながら、真面目な主人公が自分のやりたいロック評論を追究していく生き方に爽やかさを感じる。
- ペニーレイン役のケイト・ハドソンのキュートな魅力、お母さん役のフランシス・マクドーマンドの名演技は必見。
あらすじ
厳格な母に育てられ、セックスもドラッグも知らない優等生。そんなウィリアムが地元誌に書いた原稿がローリングストーン誌の目に留まり、フツーの15歳の生活から一転、ロックの世界に没頭してゆく。ブレイク寸前のバンドに同行取材することになったウィリアムは、グルーピーのリーダー、ペニー・レインと出会う。それは切ない恋の始まりだった…。
ネットより引用
作品
厳格な母親役のフランシス・マクドーマンドが素晴らしい。大学教授である彼女は弁が立ち、子どもたちを最良の育て方をしようと、勝手に2年も息子に飛び級させるいわばワンマンな母親像を見事に演じます。
ドラッグをとても警戒しており、ポール・サイモンのジャケット写真で「とろんとした、(ドラッグで)いってる目をしてる」というあたり笑わせます。そんな母だから娘は家を出ていってしまいます。でも過干渉でありながら、しばりつけることをしない。最後は子どもたちの行動を許してしまう母でもあります。母の行動が自分の満足ではなく、子どもたちへの愛情であるがゆえに、最後は子どもたちが母の元に戻ってくることになります。
姉は家を出る際に、主人公に「自由への扉をベッドの下に残した」と囁きます。残されたたくさんのレコードが彼の運命を変えていきます。ジミ・ヘンやクリームやZEP、サンタナなどのレコードジャケットの懐かしいこと。私も今ももっています。聴き直したくなりました。
ロックバンド「スティル・ウォーター」のツアーに同行することになった主人公。映画はロードムービーの要素をもってきます。ツアーバスでの移動、コンサート、その合間には女・ドラッグとメンバーのただれた生活がありますが、真面目な主人公の頭にあるのはロックミュージックを評論することにあるのが無垢でいいんですよね。
メンバーとの友情やペーニーレインへのほのかな恋心などが、とてもピュアに浮き上がっています。
メンバー達の間には対立も起こり、気まずいツアーバスとなりますが、バス内に流れるエルトン・ジョンの「タイニー・ダンサー」に合わせて、いつの間に全員がその曲を歌い出すシーンはこの映画の中で最も印象的なシーンです。
「LAからきた、バンドのお針子をしている彼女」を歌っている「タイニーダンサー」はまさにこの映画のペニーレインを表しているうようで、この映画を象徴する楽曲でもあると思います。心に残る名曲です。
そのペニーレインを演じるのは、鼻はそう高くないしぺったんこの胸ですが、笑顔が最高に素敵な透明感あふれる演技を見せたケイト・ハドソンです。その演技はアカデミー賞にもノミネートされ、ゴールデングローブ助演女優賞を受賞しました。
彼女の母親は女優ゴールディー・ホーン。笑顔が印象的なのは母親ゆずりです。養父はカート・ラッセルです。多くの映画に出演していますが、日本でヒットしたものはあまりありませんね。作品に恵まれなかったのでしょうか。
楽曲
01. America – Simon & Garfunkel
02. Sparks – The Who
03. It Wouldn’t Have Made Any Difference – Todd Rundgren
04. I’ve Seen All Good People: Your Move – Yes
05. Feel Flows – The Beach Boys
06. Fever Dog – Stillwater
07. Every Picture Tells A Story – Rod Stewart
08. Mr. Farmer – The Seeds
09. One Way Out (Live) – The Allman Brothers Band
11. Simple Man – Lynyrd Skynyrd
12. That’s The Way – Led Zeppelin
13. Tiny Dancer – Elton John
14. Lucky Trumble – Nancy Wilson
15. I’m Waiting For The Man (Live) – David Bowie
16. The Wind – Cat Stevens
17. Slip Away – Clarence Carter
18. Something In The Way – Thunderclap Newman
姉が家を出て行くところで流れる「America」は大好きな曲。この曲で物語は始まります。「America を見つけにいくんだ」というこの歌の内容が姉の家を出る行為と重なっています。こうみると、歌詞の内容と映画の内容が重なっているのかもしれません。そこまでは、掘りきれませんが。
YESのジョン・アンダーソンの声が聞こえていましたが、リストに入っていますね。今回聴き直してみました。6分以上ある曲ですが、コーラスによる曲名の繰り返しがくせになる名曲ですね。最後は、パイプオルガンの音と共に、どんどん歌唱の音が下がっていって少し不安な終わり方でしたね。
このサントラは映画の20周年を祝してアナログLP2枚組も発売されました。これは欲しいですね。アナログはアマゾンにはなかたったので、サントラCDを下に載せてます。
監督
幼い頃より音楽に傾倒し、16歳で『ローリング・ストーン』誌の記者となり、様々なミュージシャンと交友を深めた。22歳の時に書いた小説『初体験/リッジモント・ハイ』がベストセラーとなり、映画化の際に脚本を担当した。1989年に映画監督としてデビュー。2000年に『あの頃ペニー・レインと』でアカデミー脚本賞を受賞。
wikiより引用
彼が監督・脚本を務めた10の映画の中では私は、トムクルーズの「バニラ・スカイ」とオーランド・ブルームの「エリザベスタウン」を観ています。特に「エリザベスタウン」のヒロイン「キルスティン・ダンスト」に惚れましたし、何よりこの映画の音楽が気に入って、サントラを買った記憶があります。
「エリザベスタウン」もロードムービーであり、音楽もロックナンバーが選曲されています。テーマソングとなるのはエルトン・ジョンの「父の銃」で、これは本作「あの頃、ペニーレインと」と共通する者ですね。ところが、この「エリザベスタウン」は興行的に大コケしてしまいます。
最近クロウは、ジョニ・ミッチェルの自伝的作品を製作中との情報を見つけました。そのページに彼女の歌う「青春の光と影」の最近のライブ映像がありました。オクターブ低い声で歌うその歌には、しかし感動がありました。自伝映画、ぜひ観たいですね。
ロック世代には涙が出るほど、グッドオールデイズを思い出させてくれます。主人公の成長と共に家族の愛情のありがたさもひしひしと感じられる素晴らしい映画だと思います。機会あればぜひ御覧ください。
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