長崎OMURA室内合奏団 定期演奏会「古典と近代のマリアージュ」バッハ ブラームス ストラビンスキー 新古典主義の「プルチネルラ」がおもしろい

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samon
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長崎で唯一のプロ室内オーケストラの定期演奏会に出かけてみました。大好きな曲が並ぶ、魅力のプログラムです。3曲とも生演奏で聴くのは初めてだったので、とても新鮮でした。

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長崎OMURA室内合奏団(NOCE)

2011年12月に設立した、大村市を本拠地として活躍するプロオケです。2019年にの日本オーケストラ連盟の準会員となり、名実ともに日本のプロオケとして認められました。年に2回の定期演奏会を長崎と大村で行っています。その他スクールコンサートやまちかどコンサートなど生演奏のすばらしさを伝える活動に力を入れています。最近ラジオやSNSでの告知等も多く、宣伝活動にも力を入れているように思います。大事ですね。

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プレコンサート

開演前に、チェロセクションの4人によるチェロの四重奏が行われました。曲目はわかりませクレンゲルやポッパーではないかと思います。

いくつかの楽章でできており、よくまとまった演奏でした。特に内声部や低音部が充実した一体感を出していたと思います。

ただ、お客さんが続々入場してきて、しかもおばさま達がおしゃべりしながらの入場でしたので、落ち着いて聴くことができませんでした。残念。いつか室内楽シリーズでもチェロの四重奏を取り上げて欲しいと思いました。

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JSバッハ作曲 松原勝也編曲 前奏曲とフーガ(弦楽合奏版)

これまでもこの楽団は、芸術アドバイザーの松原氏が編曲したJSバッハの作品を演奏してきました。今回もその一環であり、有名なパイプオルガンの曲「前奏曲とフーガ」です。

しかし、今回は個別に作曲された「前奏曲 ト長調 BWV568」と人口に膾炙した「小フーガ ト短調 BWV578」とを連続して演奏して「前奏曲フーガ」とするという趣向です。

オルガンによる「前奏曲 ト長調」を聴き直してみましたが、なんとも幸せ感のある音楽なのですね。弦楽合奏による演奏では、もっとスリリングな感じを受けました。

「小フーガ」が終了して感じたのは、「何か物足らないなあ」です。

ずいぶん前にレコードで「トッカータとフーガ ニ短調」の吹奏楽編曲のすごい演奏を聴いたことがありました。「たらりー 鼻から牛乳ー」ですね。その厚み、重相感、そのサウンドは各吹奏楽器が渾然一体となって、まったく別の新しい一つの楽器が鳴っているようでした。演奏していたのは島根県の中学生でした。

オルガンもパイプに空気を送り込んで鳴らす、いわば吹奏楽器です。この吹奏楽器から吹奏楽器への編曲が適していたということが考えられます。人間の呼気を原動力にした音の暖かみが大切なのかも知れません。呼気を使わない弦楽器に移す場合、もしかしたらプラスアルファの工夫がいるのかも知れません。

考えられるのは、ホールトーン、響きですね。オルガンは残響がとても長い教会で演奏されていたわけですから、その環境がプラスとなることは想像できます。ところが、当日の会場は残念ながらとても残響の少ない、響かない会場でした。

そこで演奏された弦楽器によるバッハの音楽は、すかすかして余韻がなく、結果「ものたらん」という感想になったように思います。もっと響きのよい会場で聴きたかった。そうすれば印象は変わったかも知れません。我が県のプロオケがよい環境で演奏できる会場が望まれます。現在計画中の新しいホールの動向に目を光らせる必要があります。

 ストラビンスキー作曲 バレエ音楽「プルチネルラ」

この曲は’78年のアバド・ロンドン響の演奏を愛聴してきました。しかし、演奏風景を見るのは初めてでしたので、とてもおもしろく楽しく聴くことできました。

随所に各セクションのソロが入りますが、まるでオペラ歌手が自分のソロを披露するように華やかです。特に、トロンボーンとコントラバスの歌いっぷりは見事でした。

全員での合奏部分はストラビンスキーらしい切れ味で気持ちがよかったですね。古典と近代が上手に混じり合ったこの曲のよさを感じることができました。また、今回の演奏会のテーマである「古典と近代の結婚」の根幹をなす曲だとも理解できました。

ブラームス作曲 バイオリンとチェロのための二重協奏曲」

これまた、オイストラフ、ロストロポービッチ、セルの名盤を愛聴してきた曲です。生の演奏を聴くのは初となります。楽しみです。

チェロのソロはゲストの奏者の方です。中木健二さんです。3歳からチェロを始め、東京芸大からフランスのコンセルバトワール、スイス・ベルン芸術大で修行をした人です。国際コンクールの受賞歴も多数。フランスのオケで首席奏者を務めたあと帰国し、アンサンブル「天下統一」を結成。室内楽にも力を入れています。期待できますね。というか、「プルチネルラ」からソリストとしてステージに出てました。明快な音と存在感がブラームスをどう聴かせるか楽しみです。

冒頭からチェロの低い弦を中心としたソロが登場します。一音一音丁寧に明確によどみなく発音されるので、安心して聴いていられます。やはり、すばらしい奏者ですね。

これに対し、バイオリンは少し雑な印象を受けました。速さもやたら早かったりして、もっと丁寧に聴かせてもらいたかった。

バックのオケが重厚でよく響いていました。ソロのお二人に一歩もひけを取らぬというような迫力を感じました。なかなかにすばらしかったです。

繰り返しになりますが、もっと響きのよい中ホールで聴きたかったですね。古いホ-ルで、音響のことはあまり考慮に入れて作られてはいないのでしょう。市役所跡にできるホールも、いろいろな人が口を出して、結局多目的なホールという最悪の事態にならなければよいのですが・・・。文化面のすぐれたリーダーが上手に政治的に動いてくださればいいのですが。心配です。

終楽章は、とても速いテンポで進み、オケはソロにしっかりつけて、見事に演奏を締めくくりました。ソロチェロは最後までどの音もおろそかにしないという信念を感じました。

samon
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私としては、十分満足のできるコンサートでした。しかし、プログラムの内容からでしょうか、観客は多いとはいえなかったと思います。地方都市でのクラシックのコンサートの集客の難しさを感じますね。とまれ、長崎の唯一のプロオケです。今後も応援していきたいと思います。オケの皆さんもどんどん腕を磨いて、よりよい演奏をお願いします。

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