「まだ見ぬ敵はそこにいる」ジェフリー・アーチャー著 ウィリアム・ウォーウイックシリーズ第2弾 明るい文体 アクションあり法廷サスペンスありの超エンタメ快作

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samon
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「レンブラントを取り返せ」に続くシリーズ第2弾です。今回も楽しませてくれます。文体が明るく軽快、ウィットに富み、こんな会話ができたらなあと憧れてしまいます。大オススメの一冊。

ロンドン警視庁麻薬取締独立捜査班

前作「レンブラントを取り返せ」でスコットランドヤード(ロンドン警視庁)の美術骨董捜査班の新米捜査巡査として大活躍したウィリアムとその仲間たちが、メンバーそのままに今度は麻薬の大物逮捕に向かう物語です。

これは、前作でもボスであったホークスビー警視長が、ロンドンを丸ごと麻薬漬けに使用としている「蝮(ヴァイパー)」と呼ばれる麻薬王を逮捕し、組織を一網打尽にするという一大作戦を考えており、従来からある麻薬取締班とは別に、美術骨董捜査班を横滑りさせた形で独立捜査班を新設するというものです。

縄張り意識の強い日本の組織ではなかなか考えられないことです。スコットランドヤードって柔軟な考え方をするのですね。美術骨董と麻薬捜査は全然畑違いという感じですが。どんなことにも対応していくウィリアムたちのチームには驚きです。麻薬工場への突入シーンは手に汗握ります。

ウィリアム・ウォーウイック

訳者のあとがきによれば、主人公のウィリアム・ウォーウイックは、アーチャーが書いた「クリフトン年代記」という一大サーガに出てくる警官です。

その彼についてもっと知りたいとの要望が読者からあり、アーチャー自身は自作の登場人物を主人公として再登場させることにはためらいがあったようですが、熟慮の末に筆を執ることにし、巡査から警視総監を目指す旅に出すことにしたというわけです。本シリーズはウォーウイックの意思と能力を試すビルドゥングス・ロマンであり、アーチャーが最も得意とするスタイルでもあります。

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ビルドゥングス・ロマンとは、主人公の成長小説のことです。前出の「クリフトン年代記」という大部の小説も主人公ハリーのジェットコースター人生を描いたもので、ハラハラドキドキが止まらないらしいです。読んでみたいですね。何と7部作、全14巻というサーガです。

シリーズのゆくえ

ウィリアムは前作で「捜査巡査」、本作で「捜査巡査部長」に昇進しています。警視総監までの道のりが楽しみですね。何冊続くんだろうか。でも、本作のラストで警官をやめると言う話が出て終わります。いったいどうなるのか、次巻が非常に楽しみですね。

その新作ですが、すでにアーチャーは第3作、第4作を完成させているようです。第3作「Turn a Blind Eye」は2022年冬に刊行決定されています。もうすぐじゃないですか!

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本作の魅力に、登場人物の個性溢れる存在があります。弁護士の父・姉、美術館に勤める妻のベス、宿敵フォークナー、そしてスコットランドヤードの仲間たち。彼らがイメージ豊かに活躍します。もちろんウィリアムの才能のすばらしさを十分堪能できる本作をぜひお読みください。第1作「レンブラントを取り返せ」がまだの方はそちらを先にどうぞ。どちらも大オススメ!

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