「硬派弦楽アンサンブル石田組ツアー2022/2023」ハードロックを弦楽する脅威のアンサンブル 組長のかっこよさにしびれまくります

Classic
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samon
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楽しみにしていたコンサートに行ってきました。神奈川フィルコンマスの「組長」こと石田泰尚率いる男だけ13人のアンサンブルです。前半はクラシックで、後半はピアソラにはじまり、ZEPやレインボーのハードロックナンバーの編曲もの。ところがこれがものすごかった!

北欧もの シベリウスとグリーグ

黒い衣装に黒いマスク。厳つい見てくれの13人ですが、最初はシベリウスの「アンダンテ・フェスティーボ」の清らかな和音でコンサートは幕を開けました。

のっけから組長の美しい音は明瞭に聞こえてきます。決して埋もれない。ちなみに使用楽器は1960年製のG.Tononiか1726年製のG.Goffrillerのどちらかです。楽器も素晴らしいのでしょうが、透き通るような音が抜きんでて出てくる組長の腕前にはびびりまくります。

グリーグの「ホルベルク組曲」作品40は、大好きな曲です。軽やかに馬が駆けてくるような「前奏曲」にはいつもわくわくします。決して緩まず、逆にぐいぐい引っ張っていく組長に、アンサンブルもしっかりと食いついていきます。アンサンブルメンバーが組長にいかに心酔しているかがわかるようです。

第5曲の終曲は組長とヴィオラの萩谷金太郎氏のソロで始まります。隙の無い二人の演奏に息をのみます。組長の超高音への駆け上がりに続き、全員での高音から低音へなだれ落ちていく。この曲のすごさをより一層感じることができる演奏です。

バルトーク(ウィルナー編)「ルーマニア民族舞曲」

休憩後は、ハンガリーの作曲家バルトークの名曲です。バイオリンとピアノでの編曲版をよく聴きますが、この編曲でもソロバイオリンが中心で、弦楽合奏で伴奏するという形です。よって、組長の譜面台はセンターに位置しています。

組長は衣装も替わって、黒にグレーの鳥のような文様が施されています。

さて、曲は6曲の短い舞曲からなります。不思議な東欧の旋律にあふれ、剛直なものから非常に繊細なものまでバラエティに溢れています。組長の音色はまさに変幻自在で、この曲の特徴を見事に描き出していきます。組長の旋律の後ろで鳥が鳴くようなハーモニクスを、第2バイオリンの双紙正哉さんが響かせ、神秘性を際立てていました。この方はアンサンブルの大事な要になっていると感じました。

あまりの見事さに、終曲の「速い踊り」まで、あっという間の風のような演奏でした。もっと聴きたかったと悔しがらせます。

真骨頂か ピアソラそしてハードロック

ピアソラが2曲。はじめはみんなよく知っている「リベルタンゴ」、次が「ビジュージャ」これは私は知らなかった。いずれも近藤和明氏の編曲です。

組長の「ギロ」の音が生々しい。むろん本物のギロではないですよ。バイオリンのコマからテールピース(弦の根元を留めている部分)までの間の弦を弓で弾いて出す、疑似的なギロの音です。ヨーヨーマがチェロでやった映像は見たことがありましたが、生の疑似ギロは初めて。ギロの音すら明快な組長の音です。

「ビジュージャ」は少しゆっくりのテンポの曲ですが、後半じわりじわりとテンポが上がる部分は非常にセクシーです。まさの大人の高揚感。どうにも抗いようのないものです。心も体も解放されて、流れにまかせるまま。そんな音楽に陶酔するばかりです。

組長は自分のソロが休みの時には、アンサンブルの方を見たり、ソロの最中でもハーモニーを作るパートの近くに行って演奏したりと、舞台上を自由に回ります。そうすることによって、アンサンブルを引き締めているようにも思えます。自由さとともに無駄の無さも感じさせてくれます。

さて、ピアソラの後はハードロックの編曲もの3曲です。まずは、超名曲レッド・ツェッペリンの「天国への階段」。冒頭の悲しげなギターソロをチェロとともに組長のバイオリンによるアルペジオで演奏します。その透明感がとんでもないです。

さてさて、この曲の有名なエレキギターソロ、何と予想外のチェロに譲るという展開です。チェロの金子鈴太郎さんは、イスから立ち上がってこのソロ弾いてましたよ。そりゃ気持ちはわかります。一番かっこいいところですもの。組長の懐の深さも感じて惚れちゃいますねえ。

エンディングは組長のバイオリンソロに回帰して、まるで霧の中にかき消えるように最弱音の音が奏されます。会場は深い深い透明な静寂で満たされます。

最後の2曲は、ギタリスト「リッチー・ブラックモア」率いるハードロックバンド「レインボー」の編曲ものです。「スターゲイザー」と「キル・ザ・キング」。私が若い頃はまっていたのは、「ディープパープル」であり、レインボーの頃は別の音楽に興味が向いていたようで、この2曲は知りません。

ところが、初ききの耳にも驚きの完成度です。弦楽アンサンブルであっても、ロック魂は脈々と表現できるのだなあと驚きました。組長のソロは冴えまくり、体の動きも大きく激しくなっていきます。組長がレインボーの音楽を租借して、その魂はそのままに観客に向けて放出するのがびしびしと伝わってきます。

アンサンブルも楽器が鳴りまくり、特にアコードの強奏で「ジャン」とやるときのホール全体が響くような響きは驚愕です。このホールこんなに響いたっけ?と頭をかしげるほど。2曲とも超かっこいいエンディングで、観客は魅了されてしまいます。凄いの一言です。

アンコールを3曲も演奏してくれました。最後はクイーンの「ボーン・トゥ・ラブ・ユー」で締めてくれました。それまで演奏が終わると、組長はさっさと退場してしまっていたのですが、最後の最後は舞台袖で組長が深く頭をたれて感謝の意を示してくれました。これにまたしびれてしまいました。男が惚れる男、それが組長の魅力ですね。大好きになってしまいました。

samon
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行ってよかった-。もうその一言に尽きます。これほど楽しく興奮するクラシック(?)のコンサートは近年まれです。興奮した仲間と数人で、近くのお店で乾杯し、餃子をつまみにコンサートの喜びを語り合いました。これがまた楽しいのよね。石田組の「硬派弦楽アンサンブル」お近くに来ましたら、ぜひ聴きに行ってみてください。大大オススメです!

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