「ちょこっと京都にすんでみた」京都に包まれ癒やされる75分間

Drama
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木村文乃主演「ちょこっと京都にすんでみた」(AmazonPrimeVideo)を観ました。

samon
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大好きな女優さんである木村文乃が出るだけで嬉しいのですが、同時に京都のすばらしさが感じられる作品です。京都のお店の紹介番組に終わることなく、再生の物語にもなっています。ぜひ、御覧ください。オススメです!

物語は、主人公の佳奈(木村文乃)が、京都の川(鴨川かな?)の飛び石を跳び越えて川を渡るシーンで始まり、そして終わります。

ですが、飛び石を軽快に跳んでいく彼女の心持ちは大きく変化しています。東京で傷つき疲れ、職を辞めて「人生に失敗した」と思っていた彼女が、京都での短い5日間を通して「また人生を生きていく」という気持ちをもつ、再生の物語でもあります。

仕事を辞めて実家に戻り暇にしていた江東佳奈は、母から怪我をしたという大叔父・大賀茂の身の回りの世話をするよう頼まれて東京から京都へとやってくる。大叔父の怪我は大したことはなかったが、せっかくだからと佳奈はしばらく京都に滞在することにする。

WIKIより引用

この京都の大叔父を近藤正臣が好演しています。佳奈につかず離れずの距離感がすてきで、自分という軸をしっかりもった人物と感じさせます。

この大叔父(大賀茂)からお使いを頼まれる佳奈は、渡された手書きの地図を頼りに、自転車に乗って大叔父こだわりの店を訪ねていきます。

スタートは鰻の蒲焼き。鎌田川魚店(京都市上京区東町七本松西入東町45-1)は100年以上続く老舗。秘伝のたれは継ぎ足し継ぎ足しで守られてきた味とのこと。佳奈が関東との作り方の違いを聞くと、「関東は一度蒸してから焼くが、関西は蒸さない」とのことでした。

すばらしくおいしそうな炭火焼きの鰻を1匹購入しますが、一緒に「八幡巻」という太めのごぼうをハモで巻いたものも買います。大叔父と一緒に舌鼓を打ちます。思わず「おいしい!」と声を上げる佳奈に「わかりきったこと、いちいち言わんでよろし」と大叔父。このセリフは、ドラマの中で何度もリフレインされ、京都人の性格を代表するものとなっている気がします。

さらに、自分の好きなものは自分で探すようにという大叔父の言葉に、美味しい和菓子屋や隠れた絶景を求めて勘を頼りに佳奈は自分の力で京都の街を気ままに巡っていきます。

このドラマ「観光地に一切行かない京都案内」と「住んでいる人しか知らない京都」をコンセプトにしているようで、佳奈が巡るお店や町並み、紅葉の中の小さな滝など初めて見るところばかりです。

大切な水

特に京都の人々が「水」を大切にしていることは、次の2カ所で印象深く描かれています。

  • 梨木神社(京都市上京区寺町通広小路上ル)
  • 麩嘉本店(京都市上京区西洞院堪木町上ル東裏辻町413)

水をもらいに行く「梨木神社」では、水が湧いているところをボランティアできれいしている男性と会話し、お世話になっているものに自然と感謝して尽くすという人間のもつべき本来的な心根を知ります。それは現代人が忘れつつあるもの、東京の佳奈の生活の中に無かったものかも知れません。

生麩(なまふ)というものは、高田郁の「みおつくし料理帖」の中でも出てきて、主人公の澪が作るのに苦労する食べ物でした。ドラマに出てくる生麩のまんじゅうは水が大切で、水道水ではその風味が出せないとお店の人は語ります。お店の裏のわき水を佳奈はもらって帰ります。その水でたてた珈琲を大叔父と味わうシーンは、とてもうらやましく思いました。

さばずし

大叔父に「どうしても鯖寿司が食べたい」と所望され、またお使いに出ます。

天ぷら・鯖寿司 天忠(京都市左京区田中上玄京町52-2)は、これまた100年以上続くお店。店主のおじいさんの笑顔がすてきです。鯖寿司作成の手際もばっちり映像に残っています。実にうまそうです。

本作は、お店紹介でありながら、ドラマの進行に支障がないように、お店の方がカメラを意識しないように上手に撮影されています。しかし、鯖寿司の店主さんはついついカメラを見てしまうのが、逆にかわいらしくて笑ってしまいます。それゆえ本編でもそのまま使用されたのでしょうね。

佳奈は「鯖寿司は苦手」と言っていたのですが、訪れた紅葉の滝を見ながら、鯖寿司を全部平らげてしまいます。残念がる大叔父もたいへんかわいい。そんなほのぼの雰囲気にとても癒やされます。

鴨川で珈琲

ベンチに座って佳奈と大叔父は、わき水でたてた珈琲を飲みながら、鴨川を眺めます。佳奈は思わず、東京でのことを大叔父に語ってしまいます。競争競争の日々に疲れ、大好きな絵を描くことも嫌になった。「私人生に失敗しちゃった」と本音を吐き出します。

大叔父は自分の人生も振り返りつつ語ります。「中途半端。子供もおらんし、仕事も3.4回変わったかなあ」でも、何度でも自分が好きなことを目指してやればいい、「それが楽しい」じゃないと語ります。

「そうかなあ」佳奈は考えを変え始めます。

その夜、久し振りにスケッチブックに絵を描き、そのまま寝込んでしまった佳奈の寝顔はこの上も無く美しく感じました。

別れの日、佳奈は「京都はどうやった?」と大叔父に聞かれ、「少し大人になった」と自分の成長に気づき、笑顔で大叔父と別れます。

鴨川の飛び石を、軽々と飛び越えていく佳奈の心はとっても軽く、そして希望に溢れていたのではないでしょうか。

samon
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木村文乃の美しさ、かわいさを十分に感じられるとともに、京都の包み込むようなやさしさの中で、癒やされ勇気をもらうようなすてきな1時間15分でした。京都行きたくなりました。こん行ったときは、観光地でない古くからの京都を感じたいなあ。「ちょこっと京都にすんでみた」皆さんぜひ御覧ください。オススメです!

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