雨の土曜日でしたので、午後から映画二本立てを楽しみました。レンタルビデオ屋が家の近くから消えたものですから、もっぱらAmazonPrimeVideoです。
1本目はドイツの映画「コリーニ事件」、2本目は韓国映画「EXIT」です。
どちらも、評価星4つ以上のものでした。私もどちらも素晴らしい作品だと感じました。正統派の法廷ドラマとジェットコースターパニック脱出アクション。この組み合わせはなかなか無いでしょう。性格の違う映画だけに、対比され互いを引き立て合うようでした。
コリーニ事件(監督:マルコ・クロイツパイントナー)
新米弁護士のカスパー・ライネンは、30年以上もの間、ドイツで模範的な市民として働いてきた67歳のイタリア人ファブリツィオ・コリーニが、経済界の大物を殺害した事件の裁判で彼の国選弁護人に任命される。その事件の被害者は、カスパーの少年時代の恩人ハンス・マイヤーだった。
WIKIより引用
そして裁判が始まるが、コリーニは頑なに動機を語ろうとしない。さらに遺族側には、カスパーが大学時代に刑法を教わった伝説的な刑事事件弁護士のリヒャルト・マッティンガーがつく。
圧倒的に不利な中、ライネンは第2次大戦中に起きた、イタリアのある町でのナチによる報復事件を探り当てていきます。これまで何も語らなかったコリーニが、法廷の中で徐々に事実を語り始めます。裁判官をはじめ傍聴人もコリーニの同情へと傾いていきます。
マッティンガー教授は、法治国家ではコリーニは報復事件について「訴訟」すべきであると主張。そして、実はすでにコリーニは訴訟しており、敗訴していた事実を明らかにします。
ライネンは窮地に立たされますが、懸命の調査で、とんでもない法律スキャンダルが明るみになっていきます。この大どんでん返しがすごい。
この映画(原作小説)の中で語られる抜け穴法律について、ドイツ国家はドイツ連邦法務省内に調査委員会を立ち上げて調査を始めたといいます。ペンの力を実感しますね。
映画は、手堅い表現で、この物語自体の力を尊重しながら進んでいきます。ただ、ライネンが少年時代世話になり、父親代わりだったそんなマイヤー像と、戦争中に行った事実をもつマイヤー像は相反するものながら、本当のマイヤーの人物像は掘り下げられず、中に浮いた状態で放置されます。わずかにコリーニの銃弾を受ける際の姿からヒントは与えられてはいますが。
コリーニは始終だんまりで、表情だけで演技する渋い役柄。この換言すれば難しい役柄を演じるのは何とあのフランコ・ネロではないですか。
サン・プロスペロ出身。父親は警察官で、ミラノの大学で経済学を勉強しているときに、写真のモデルとしてスカウトされた。1964年に映画デビューし、マカロニ・ウェスタンなどで活躍した。本名のフランチェスコ・スパラネロではアメリカ圏で発音しにくいという理由から短くしてフランコ・ネロと芸名を名乗るようになった。ただし初期の2作『殺しのテクニック』『荒野の渡り者』ではフランク・ネロという名前になっている。西部劇における伝説的なキャラクター「ジャンゴ」を演じた人物として知られる。100本以上の映画に出演している。
wikiより引用
2012年のクエンティン・タランティーノ監督作『ジャンゴ 繋がれざる者』ではゲスト出演し、ジャンゴ役のジェイミー・フォックスと対面している。
かつてのマカロニ・ウエスタンのヒーローは、老いた今も内面の強靱さと深い悲しみを感じさせるその瞳は健在で、難しいコリーニ役を見事に演じています。
主演のライネン弁護士役のエリアス・ムバレクはチュニジア系の父とオーストリア人の母をもつ俳優。育ての父を殺した男を弁護するという複雑な心情の役柄だが、弁護士の本分を信じて真実を追究していく若手弁護士を淡々と演じていきます。も少し悩んでもいいんではとか思ってしまいますが。
登場人物個々人の掘り下げた描き方は少し薄いと感じますが、この映画から、ナチの残虐な真実とそれに翻弄される人々の哀しみを感じると共に、多くの戦争犯罪者が法律のもとに罪を免れた事実を知ることができました。
今まさに戦争行為が大国ロシアにて行われています。これだけ戦争の辛さを感じてきた人類なのに、またか!という強い憤りと人類の愚かさを痛感しています。
戦争の悲惨さを風化させないためにも、いえ一級の法廷ドラマとしても実に見応えのある一本でした。ぜひ御覧ください。長くなったので、もう1本の映画は、別のブログ記事で展開しますね。
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