「トワイライトゾーン」第1話「コメディアン」(AmazonPrime)を観ました。
この題名に食指が伸びたのは、HBOドラマ「ラヴクラフトカントリー」の解説の中で、町山智浩氏が1959年からのTVドラマ「トワイライトゾーン」に触れたからです。このドラマの原案者であり、またドラマの中のホスト役をやっているロッド・サーリングは、さまざまな差別する側が、ある日突然差別される側になっってしまうという話を繰り返し作ったというのです。
黒人差別をする白人がある日、黒人となり差別される。他にも、ユダヤ人等々。スピルバーグらが監督した映画版の「トワイライトゾーン」でも、偏見に満ちた白人男性が、ユダヤ人の立場になってしまう話がありました。
黒人への差別を中心のテーマとしている「ラヴクラフトカントリー」と「トワイライトゾーン」の共通点を町山氏は語っていたと思います。「ラヴクラフトカントリー」の製作総指揮の一人に、ジョーダン・ピールがいます。彼は「US(アス)」という映画で、クローン人間を通して格差社会についてのテーマを描いていました。ジョーダン・ピールの主張にはいつも差別や格差があります。
さて、この新しい「トワイライトゾーン」ですが、なんとそのジョーダン・ピールがホスト役を務めています。このドラマシリーズの中で、ジョー・ダンピールの主張が撃ち出されること必至ですね。どんな形で表現されるのかが楽しみです。
ジョーダン・ピールが案内役をつとめる新「トワイライトゾーン」の記念すべき第1話は、笑いを取れないコメディアンの話です。時事ネタで笑いを取ろうとするが全然笑いを取れないサミール(インド系)は、伝説のコメディアンJCウィーラーと偶然出会い、「笑いを取りたければ自分をさらけ出せ」と助言を受けます。次のショーで、サミールが飼い犬の話をすると客は大爆笑。しかし家では飼い犬が消えてしまいます。身の回りの人をネタにすると、大受けするのですが、ネタにされたその人は世界から消えてしまうのです。
自分の仕事は大成功するが、気づけば自分の知り合いは誰もいなくなってしまう。仕事人間の父親が、気づけば家族の誰にも相手にされない、そんな少し前の日本の様子と重ねる人もいるでしょうか。仕事仲間をだしにしてあるいは裏切って、上に立って見れば、全くの孤独だったとかですね。
ドラマでは、自分の過ちに気づいたサミールは、最愛の人の前である行動に出ます。それは伏せておきましょう。
人生100年時代と言われます。2000年以降に生まれた人は、結構な確率で100歳まで生きるらしいです。そんな長い人生においては、これまでの人生設計を大きく変えねばならないかもしれません。「教育を受ける時期」「社会で働く時期」「引退後」の3ステージがこれまでの人生ステージでした。「社会で働く時期」が一番長かったわけですから、それに全力を尽くして燃え尽きるというのも、ひとつの姿だったかも知れません。しかし、それは崩れていきそうです。引退後に30年くらいあるわけですからね。
長い人生において何を大切にしていかなければならないか。それを今まさに考え直す時かも知れません。この「コメディアン」を見ながら、そんなことを考えました。
新「トワイライトゾーン」第2話は「3万フィートの戦慄」という題名です。前述の映画版の第4話はたしか「2万フィートの戦慄」でした。飛行機恐怖症の男が、飛行機の翼を破壊する怪物を目撃し、大騒ぎしますが、誰もそれが見えません。そんな話でした。監督は「マッドマックス」のジョージ・ミラーでした。異常な緊迫感のカメラワークだったような。
「3万フィートの戦慄」では、どのような恐怖が語られるのか楽しみです。「コメディアン」共々ぜひ御覧ください。
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