「ラヴクラフトカントリー」第9話「バックトゥ1921」

Drama
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U-NEXT「ラヴクラフトカントリー」第9話「バックトゥ1921」を観ました。いよいよ残り2話。クライマックスへの重要な物語。同時に私にとって大変印象深いものになりました。

アティカスとレティそしてアティカスの父モントローズは、前話で不気味な少女にされてしまった姪のディーを救うために、1921年のタルサに次元移動装置を通じて戻ります。失われてしまった「名前の書」という魔道書を過去に戻って手に入れるためです。

この1921年のタルサでの虐殺事件の直前の時間に戻っていくわけですが、もちろんこの事件は実在の事件です。

 タルサ人種虐殺(タルサじんしゅぎゃくさつ、: Tulsa race massacre)は、1921年アメリカ合衆国オクラホマ州タルサ市グリーンウッド地区で、白人暴徒が黒人住民を殺害し、黒人経営の商業施設を攻撃、破壊した虐殺事件である[1][9][10][11][12][13][14]。特定の人種に対する暴力として、アメリカ合衆国史上最悪の事件と称される[15]が、事件から80年近く歴史から忘れられていた。タルサ人種暴動グリーンウッドの虐殺ブラック・ウォール街の虐殺とも呼ばれる。

wikiより引用

このドラマの意味のひとつが、米国の黒人差別の過去での出来事を再現することにあると思います。1921年のタルサのホテルの窓からは、精巧な当時の町並みが遙か遠くまで再現されます。CGの力を使いながら、私たちをその世界に一瞬に移動させてくれます。

美しい町並みは「ブラックウォールストリート」とも呼ばれていました。なぜなら、事業で成功した裕福な黒人たちのストリートだったからです。周囲に住んでいた白人たちは、この裕福な黒人たちが許せなかった。差別されるべき黒人が自分たちより良い暮らしをしていることへの、人間の恐ろしいねたみの憎悪が、このタルサの虐殺の蓄積された原料となっていたのです。

きっかけは、次の通り。少し引用します。

 商業ビルの1階で働く白人店員が、エレベーター・オペレーターとして働く17歳の白人女性の叫び声の後に、靴磨きとして働く19歳の黒人、ローランドが逃げるのを目撃した。白人店員は警察に電話し、確証がないまま性的な暴行事件があったと通報した[16][17]。実際にエレベーターの中で何が起きたのかは、未だ謎に包まれているが、ローランドは女性の腕に触れたのは認めたが、暴行容疑は否認し、女性も被害届を出さなかった。

wikiより引用

きっかけは何でもよかったのかも知れません。エレベーターの中で何があったのかは、とうとう分かりませが、この事件から、白人たちの裕福な黒人たちへの憎悪は、組織的にそして徹底的にタルサの町を破壊し尽くす行為に至ります。ドラマの中でも、飛行機が火炎瓶を落として、燃え広がるシーンが再現されています。

samon
samon

この燃える炎が、第9話のクライマックスシーンへとつながっていきますよ。

レティは「名前の書」を探しに、アティカスの母ドーラの実家へ向かいます。すでに虐殺行動・焼き打ちが始まっていますが、その中でレティは、ドーラの祖母に自分が未来からやってきていて、子孫を守るために「名前の書」を探していることを打ち明けます。祖母はそれを信じ、書をレティに渡します。そのとき火の手は部屋中を包み、祖母をも炎は無残に包み込んでいきます。

クリスティーナの魔術で危害が及ばない体になっているレティは、燃えさかる家を書を片手に出て、同じく燃えさかる家々の前の通りを、怒りの表情で歩いて行きます。このときにバックに流れる歌が、大変に印象深いものです。

ソニア・サンチェスという詩人が作った「キャッチ・ザ・ファイア」に曲をつけたものです。

 ソニア・サンチェスはアメリカの詩人、作家、そして教授です。彼女はブラックアーツムーブメントの第一人者であり、短編小説、批評エッセイ、演劇、児童書だけでなく、12冊以上の詩集を書いています。

 ウィキペディア(英語)

「怒りを 子へ 孫へ 姉妹へ 兄弟へ 引き継げ」おおざっぱにはそう歌っているように聞こえます。(英語苦手ですトホ)また、名前を連呼している部分もあります。知っている3人も出てきます。「マーティン」「マルコム」「マンディラ」そう、キング牧師にマルコムX、そしてネルソン・マンデラです。この歌はyoutubeで聴くことができます。こちら

黒人の怒りの炎の中をドシドシ歩いて行くレティの姿は、この歌と相まって、すべての黒人差別に立ち向かっていこうとする強力なパワーを観る者に感じさせてくれる凄いクライマックスシーンだと思います。

samon
samon

このエピソードを通して、これまで全然知らなかった「タルサ人種虐殺」を知ることができました。人種差別や人間のねたみの憎悪の恐ろしさを考えることができました。エンターティメント性を失わず、なおかつ大事な主張も感じさせてくれる素晴らしいエピソードです。ぜひご覧ください。大おすすめです。

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