黒川博行著「疫病神」

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この夏はまっている作家、黒川博行著「疫病神」読了しました。文庫で500ページを越える大作である。今回の主人公は大阪府警の刑事たちではないのだが、やっぱりひょんなことからバディで行動してしまう二人の男たちだ。建設コンサルタントの二宮とやくざ二蝶会の桑原である。この二人が産業廃棄物処理場建設に絡む、金に群がる うぞうむぞうの 奴らと戦っていく。ページをめくる手が止まらない、ジェットコースターハードボイルドノベルである。アクションあり、緊迫した賭場での勝負ありのエンタテインメント作品である。飛び交う大阪弁は、これまでの刑事物の軽妙さに加えて、極道のやくざ言葉がちりばめられる。今回は、二人で食堂に入って「うどん食べまひょ」でなく、ミナミのクラブやラウンジでの美しいホステスを交えての者に変わっており豪華だ。二人は互いを「疫病神」と思いながらも、それぞれの危機を助け合う。しかし、互いに金の取り分はビタ1もんまけない。大阪らしい。桑原は言う「やくざの世界では、すべて金で解決する」金が全ての世界であり、健さんの頃の「任侠」とはまた違う世界なのだろう。「たいていの男は、金と女で落ちる」と言うのは、現在放送中のドラマ「竜の道」での主人公竜一の言葉である。このドラマ、登場人物一人一人の人物像の描きが細やかでなかなかにおもしろい。金とも女ともあまり縁が無い故に、あこがれるのかもしれないなあ。ところで、この疫病神はシリーズ化しており、映画化もされている。主演の二人は佐々木蔵之介と横山裕。この「破門」という小説は直木賞受賞作!読まねば。

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