映画二本立て後半です。
韓国映画「EXIT」(監督:イ・サングン)
これぞノンストップジェットコースターパニック映画。加えて、親子の情や親戚つきあいなど、日本とは異なる状況を知ることができました。コミカル要素も多く、ヒロインがかわいい。これはオススメできる作品です。
冒頭の鉄棒でのトレーニングから、コミカル路線全開です。もと山岳部の主人公の青年ヨンナム(チョ・ジョンソク)は公園の鉄棒でさまざまな筋トレを見せてくれます。ぱんぱんの二頭筋はもちろん後のストーリーの伏線でもあります。
そこに甥っ子が友達とやってきますが、甥っ子はヨンナムを少し疎ましく思っているようです。この甥っ子が物語を通して、ヨンナムへの思いが変化するのもわかりやすい対比です。
ヨンナムの母親が70歳の古希を迎えて、祝いのパーティーを開くことになり、その会場を自宅から2時間もかかる遠い場所に予約します。なぜなら、そこで山岳部時代に思いを寄せていて、現在もその思いが続いている後輩のウィジュ(ユナ)が勤めているから。就職が決まってから堂々と会いたかったヨンナムですが、「不採用」のメールが届きます。
いよいよパーティーが始まります。古希の祝いをこれほどに大々的にやることにまず驚き。次々にやっってくる親戚たち。あからさまに義父をほめる娘婿の姿に、家父長制が色濃く残ることがうかがい知れます。
結婚式顔負けに、カラオケや踊りなど出し物が披露され、親戚たちはパーティーを盛り上げます。まあ、日本ではみられないことです。
喜びのさなかでパニックは起こります。企業を恨んだ男が、その大企業のビルの前で、トレーラーから大量の毒ガスを噴出。町は白い毒ガスで埋め尽くされていきます。
一時はビルの外に出て逃げようとしますが、ガスに触れたヨンナムの姉が、呼吸困難と皮膚の炎症を起こした事実から、再びビルに戻ります。姉の様子からして、皮膚のびらんを引き起こすマスタードガスという生物兵器かもしれません。生物兵器の恐ろしさを感じさせます。どうか、生物兵器がウクライナで使われることがないことを祈ります。
さあ、その後の親戚一同のサバイバル、そしてウィジュとヨンナムの究極のサバイバルは、実際にあなたの目で見て欲しいと思います。
ユナ(ヒロイン ウィジュ役)
ヒロインウィジュを演じるのは元ガールズグループ「少女時代」のユナです。新垣結衣を思わせる正当派美少女です。
最難関のSMエンターティメントの「土曜日公開オーディション」に合格し、練習生として5年2ヶ月の訓練期間を経て、ガールズグループ「少女時代」のセンターでデビューします。ダンサーでもあり、不動のセンターと呼ばれました。
ドラマや映画にも多数出演していますが、本作「EXIT」(2019年)から主役を演じることがスタートしています。記念すべき主演デビュー作なのですね。
バランスのよい美しいスタイルと透明な肌が魅力の彼女ですが、映画のクライマックスのビルや建物の屋上を疾走するシーンでは、運動神経抜群な見事に軽快な走りを見せてくれます。
言い寄ってくる上司に、困惑する表情やぴしゃりと否定する毅然とした表情、ついに助からないとめそめそ泣き出す表情など、魅力的な様々な顔が見られるのもこの映画の魅力ともいえるでしょう。
親を大切に
母親をおんぶする、日本でこのような状況になるのは介護している場面でしょうか。おんぶする子供はつらそうですね。この映画の中で、息子たちが古希の母親を次々におんぶしてあげるシーンが出てきます。親も子もとてもうれしそうです。
韓国映画を観ると、年長者に対して礼を尽くすシーンをよく見かけます。儒学的な考えが、社会の中に浸透しているのが伺えます。
本作を見ていると、「親を大切にする」という思想が現代韓国の中に大事にされているのを感じます。振り返って日本はどうでしょうか?親としての自分はどうだろうか。大切にされてる?あまり実感がありません。私の両親は鬼籍に入ってしまいましたが、私は親を十分に大切にしただろうか?自信はありません。
本作の親戚たちを見て、めんどうくさいと思う半面、いいなあという憧れも感じてしまいました。
クライマックスで、ドローンが大切な役割をになってきます。主人公たちを救うだけで無く、親が子を心配する姿の鏡としても。様々な要素が詰まった、軽快で緩みがない映画「EXIT」ぜひ御覧ください。オススメです!(amazonPrimeやNetflix)
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