長崎新聞の1面全面を使って「2年分のおくんちを来年こそは楽しむ」というような広告記事が掲載されました。今日はおくんち「お下り」の日だ。通常なら長崎の街は祭の高揚した雰囲気に包まれているところであるが、コロナ禍の今年もまた静かに過ぎている。子どもの頃、くんちの前の日からそれはもうわくわくして、今はもうない大浦町までの引き込み線の線路の上を歩いて、大波止まで出店の準備を見に行ったりした。くんちの日は学校はお昼までで終わる。お小遣いをもらって、出店が連なる大波止へと出かける。大波止はもう満員電車のような人出だ。非日常に酔いながら、お金を少し使って、満足して帰る。今はもうない、電車の通らない陸橋の上を眼下に海の水を見ながら、器用に渡ってまた引き込み線を伝って帰るのだ。この陸橋を渡るシーンは、内田春菊著「ファザーファッカー」に印象的に出てくる。長崎出身の内田氏の自伝的小説である。来年こそは、いつものくんちの長崎が戻ってくることを祈りたい。
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