友人からチケットをいただいたので、聴きにでかけました。はたして演奏は。
結論
満足度低し。
概要
第23回長崎定期
会場 長崎市民会館・文化ホール
日付 2024年12月13日(金)出演
松原勝也(コンサートマスター)
長崎OMURA室内合奏団プログラム
♪ チャイコフスキー/弦楽セレナードハ長調Op.48
♪ ベートーヴェン/交響曲第6番ヘ長調Op.68「田園」
感想
チャイコフスキー/弦楽セレナードハ長調Op.48
冒頭の和音から魅力的な曲なのですが、バイオリンの出が合っていません。誰か先に出た。これでまずがっかり。
最後の和音「ジャン!」、残響が1秒以上欲しいところですが、たぶんコンマ1秒もないのではないでしょうか。「ボソ」と終わる。この曲に全くあっていない会場だということが感じられます。このホールは講演会あるいは演劇にはいいと思いますが、クラシックコンサートには向いていません。
特にこの曲には弦楽器の響きが重要ですから、会場にはミスマッチの選曲と思われます。本オーケストラのような小規模の楽団はこのような会場を選択するしかないのが、長崎市の現状です。2月の日フィルの宮田大がソロをとるエルガーのチェロコンは聴きたいが、この会場とのことでやめることにしました。
会場が最悪であることはひとまず置くとして、このオケの演奏にもどります。
テンポ設定ですが、どの楽章も快速です。早いテンポに団員が一生懸命付いていくという印象。速いのはよいのですが、音楽の呼吸たるルバートなどの変化があまり感じられません。楽章内はフラットなテンポで常時演奏されます。これはチャイコフスキーのようなロマン派の楽曲にしてはつまらないと思います。
ことに、私が大好きなエレジーの楽章では上記のような平板な表現では実に物足らなく感じました。涙がこぼれる楽章なのですが・・・。
音楽のダイナミクス(音量)の変化も全般に平板です。特に低音楽器の響きが貧弱に感じ、どんどんクレッシェンドしていく迫力が感じられません。ロンドン響の演奏で変化の大きさに驚いたこともそう感じる理由かもしれません。
そんな中で、ビオラパートの健闘が印象的でした。今回4人でチェロと同人数だったのでバランス的に少なくて心配しましたが、深い響きの音がよく聴こえてきました。奏者の身体の動きも音楽に乗った豊かなもので音にそれが表れていたと感じました。
ベートーヴェン/交響曲第6番ヘ長調Op.68「田園」
弦楽器に関してはチャイコフスキーと同様の感想です。快速な変化の少ないテンポでとばします。ベーレンライター版が出てから速い演奏が増えたというネット記事を見たことがありますが、本楽団もベーレンライターでしょうか?
シンフォニーですので、管楽器・打楽器が加わります。管楽器に関してはこの響きのないホールなのでどうしても直接音が観客に向かってしまい気の毒に思いました。そんな中でも木管楽器はすてきなアンサンブルを聴かせてくれました。
特にフルートから始まる鳥の声の模倣は、フルートのルバートがいつもの田園を思い出させてホッとしました。
スケルツオ楽章のホルンのソロは2回チャンスがきますが、2度目完璧に演奏してくれて流石と感心しました。
ずーっと暇にしていたティンパニの最初の雷の落下は、ゆるめた皮を叩くような破壊感があって、ボロティンパニか?と思いましたが、雷らしい演出とすれば成功かと思います。
でもこの曲って、ティンパニとトロンボーン・トランペットは結構ずーっと暇だなと気が付きました。新世界交響曲でたった1か所のシンバルを演奏するフランキー堺のドラマを思い出しました。ドラマの内容と本オケのプレーヤーさんとは何の関係もありません。このドラマって倉本聰の脚本ですね。もう一度見たいなあ。
最後もちょっと苦ごとになります。弾き振りの先生ですが、観客からするとじゃまでしょうがありませんでした。素人目からすると、ファーストバイオリンパートを演奏しているので、ずーっと結構弾きっぱなしで、指揮的な場面はあまりなかったように思います。チャイコフスキーではほとんどなし。田園で少しありましたか。
ならば、コンサートマスターとして座って、そこから合図を全体に送られてもよかったかと思います。オルフェウス室内管弦楽団のように。ソリストでもないのに、シャツ姿というのもだらしなく感じました。他の男性楽団員がスーツ姿だったゆえなおさら目立ちました。もし中央が空いてたら、観客はフルートやオーボエの演奏風景が楽しめたと思います。
アンコールはなく、満足度の低い演奏会であったと思います。
定期演奏会は本拠地大村での演奏もあるので、次回もし行くのならそちらの方に参加したいですね。とにかくホールが最悪すぎます。交通の便も悪いし長崎市ではないけれど、できれば響きのいいカナリーホールでやってもらいたいですね。
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