12月3日(日)楽しみにしていた長崎交響楽団の定期演奏会を聴きました。アマチュアオーケストラとは思えない充実の演奏に、とても高揚した気分にひたることができました。
結論
オペラアリアの前半とブラームスの名曲というプログラムの見事さ。演奏のクオリティの高さにわが町のこのオーケストラの存在を誇りに思います。
オペラアリア
モーツアルトの「フィガロの結婚」序曲でコンサートは幕を開けました。前半は有名なオペラアリアがプログラミングされています。
ドニゼッティの「愛の妙薬」から2曲が歌われました。プログラムに歌詞がありますが、本番中は客席は暗いので見るわけにもいかず、歌詞の内容が舞台を見ながらわかるともっと楽しめたと思います。字幕の機材はお金がかかるのでしょうね。スマホに出すとかできませんかね。
プッチーニの2曲は大好きなので、歌詞の内容はだいたいわかっていました。
トスカ
「歌に生き 愛に生き」 以前は「歌に生き 恋に生き」といってましたがね。「恋」を「愛」とすると守備範囲がぐんと広がります。「愛」は子どもへの愛もあれば、人類愛とかもあります。トスカの場合そんなのでなく、やはり男性を対象とした「恋」に生きたのではないかなあ。恋多き歌姫ゆえに輝くと思うのですが。
富永さんの歌唱は素晴らしいものでした。声質声量十分、そしてトスカの情熱も伝わってきます。
「星は光りぬ」 林さんの声量はものすごくて、人間の力ってすごいと驚かせられました。でも、銃殺を前にして絶望の中で歌うこのアリアには、元気すぎて生命力に充ち満ちすぎていて、違和感は感じました。
蝶々夫人
「花の二重唱」スズキの山口さんの歌唱よかったです。蝶々さんを支え続けた、主人への愛を感じます。篠さんの蝶々さんは可憐で美しい声ですが、声量はもう少し欲しい感じでした。
後半3度で歌が美しくハモるところで、ハープが奏でるすこし不安を含んだ和音が大好きです。ハーピストは楽団の方でアマチュアと聞きましたが、見事に演奏されてました。彼女は後半のブラームスではビオラを弾いていらっしゃいました。すごいアマチュアの方がいるものです。
「かわいい坊や」もう一人の蝶々さん松本さんは安定のうまさで、安心して物語に浸らせてくれました。「ある晴れた日に」でなくエンディングのこのドラマティックな曲を選んだのもいいですね。
白いお着物も蝶々さんの潔さを引き立てます。オペラなら子役が「ママー」と走ってきて、蝶々さんはこの子に向かって歌うのですが、今回は誰もいない空間に歌う姿になりましたが、私には子どもがまるでいるように感じられました。
ピンカートンの叫びは、舞台裏で響くだけと思っていましたが、今回は舞台に出てきて大声量で歌ってました。花びらの中に倒れた蝶々さんだけが舞台に残るという演出もいいと思うのですが。
ブラームスの第2交響曲
第1楽章は少し重たい感じがしました。引きずるような重さはブラームスらしさでもありますが、秋の陽が降り注ぐようなこの曲では、もう少し前に進んでもいいかと。
しかし、重くなりすぎないか心配した2楽章冒頭のチェロはぐんぐん進んで、心配は杞憂に終わります。いいテンポ設定で気持ちよく聴けました。
ホルンのソロは安定の響きで、その美しさを堪能させてくれました。
3楽章も軽快なテンポが心地よい。中間の2拍子の速いところは第1バイオリン難しそうでしたが、破綻なく見事に弾かれていました。このオーケストラの弦楽器は本当に上手です。音色も美しく、ハイレベルなアマチュアオーケストラと驚きます。
加えて、管楽器の安定感もすばらしいものがあります。特に金管楽器は見事で、これだけのレベルならばマーラーやブルックナーにも挑戦できると思います。ぜひ実現してください。
4楽章は非常に盛り上がり、すばらしいエンディングを楽しませてくれました。このシンフォニーの良さを再確認させてくれる演奏だったと思います。
アンコール
アンコールは大サービスの2曲。初めは予想どおり「ハンガリー舞曲」でした。第1番。手抜きのない演奏でした。見事。
2曲目は、オペラアリアの皆さんが集合して、交代で「乾杯の歌」を歌うという超豪華な演出です。ちゃんとメゾ・ソプラノの山口さんも歌われてよかったです。林さんの大声量はこの曲にはぴったり。すばらしく盛り上がりました。
帰路はとても高揚感一杯でした。行ってよかったー。そう感じさせてくれる名演奏の連続に、わが町の名アマチュアオーケストラの存在を誇りに思いました。
来年7月は100回記念定期演奏とのこと。練習により力が入りますね。「幻想交響曲」でも名演奏を楽しみにしています。サブメインにはコンチェルトも聴きたいですね。記念回ですから豪華なゲストを迎えては。お客も入るし喜ぶでしょう。反田氏とか彼の奥さんとかどうでしょう。
どんどん進歩成長するオーケストラ。すばらしいですね。プログラミングも踏み込んで、マーラー、ブルックナー、印象派、現代音楽にも挑戦して欲しいです。応援してます。
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