野木亜紀子 脚本「ラストマイル」アマプラに登場EC業界 運輸業界批判?応援? アンナチュラル MIU404のシェアード・ユニバース

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samon
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劇場でロングランしていました。はやくもアマプラに登場 はたして

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結論

テレビ界から映画の世界へ進出してきた名脚本家と名演出家の映画界での良作輩出に大いに期待する

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概要・あらすじ

2024年8月23日に公開された日本の映画。監督は塚原あゆ子、脚本は野木亜紀子、主演は満島ひかり[2][3]

11月のブラックフライデー前夜を発端とする連続爆破事件に立ち向かう、物流センターのリーダーたちをはじめとする人々を描くサスペンス映画[4]。タイトルの「ラストマイル」(ラストワンマイルともいう)とは、最終拠点からエンドユーザーへの物流サービスのことを指し、客へ荷物を届ける最後の区間を意味する言葉である[5]

本作は、TBS系「金曜ドラマ」枠で放送されたテレビドラマ『アンナチュラル』及び『MIU404』と世界観を共有するシェアード・ユニバース作品である

wikiより引用

物流業界最大イベント、ブラックフライデーの前夜、大手ショッピングサイトの配送段ボールが爆発する。日本を震撼させる連続爆破事件に発展する中、巨大物流倉庫のセンター長に就いた舟渡エレナは、チームマネージャーの梨本孔と事態を収束させようと試みる。

ネットより引用

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感想

故郷の「軍艦島(端島)」を見事なドラマにて描いてくれた脚本家 野木亜紀子にはとても注目しています。「アンナチュラル」「MIU404」はもちろんのこと、それ以前の「逃げ恥」が大ヒットしたのもまだ記憶にありますね。

映画でも「図書館警察」「アイアムアヒーロー」などもヒットしました。ヒットメーカーと言っていいですね。そんな彼女の映画新作が本作。

メインで進むストーリーの中で「アンナチュラル」のUDIラボファミリーが「MIU404」の4機捜ファミリーが登場するのがファンとしては非常にワクワクしますね。特にメインストーリーの重要人物の炭化死体を解剖するミコト(石原さとみ)らの活躍は詳しくは描かれないものの、観る者が脳内補完してしまいます。

このように過去に作者が創造したキャラクターを別の物語で登場させるのを「シェアードユニバース」というかっこいい呼び方でアピールしました。この手法は新しいものではなく、宮部みゆきはよく使います。「きたきた捕物帳」シリーズがその代表です。

過去に知ったキャラが登場すると何ともファンは高揚してしまいます。読み続けてきて良かったーとなります。そこをうまくついているのが宮部であり野木で、見事な戦略と思うしキャラ創造者の役得でもあると思います。

メインストーリーでは、amazonがすぐ想起されるメガEC企業と運輸会社が俎上に乗っています。爆弾事件の原因となる中村倫也の投身自殺。何と中村はこの映画の中でセリフは皆無です。繊細感がありつつ存在感もある中村のキャスティングは成功だと思います。

amazonを批判的に描いた映画で思い出すのは、名女優フランシス・マクドーマンド(ファーゴ・スリービルボード)が主演した「ノマドランド」が思い出されます。家を失い車上生活をしながら職を転々とする60代の主人公の生活を描いてアカデミー賞作品賞も受賞した名作です。この中でメガEC会社で商品を歩いて集めていく主人公の姿が描かれます。高齢になっても1日何キロも歩くのがこの職です。

時が流れて「ラストマイル」の時代には賞品をピックアップしてくるのはロボットの仕事となり、人間は移動はなくなったようですが、外資の厳しい圧力は、経営や管理のリーダーである中村を押しつぶしてしまったということでしょう。「ノマドランド」でも巨大企業が人間の生活を蝕んでしまうのは共通です。

「ノマドランド」では高齢者への厳しい現状を描きながらも、自家用車で移動していくノマド生活の中でアメリカの美しい自然がフィルムに焼き付けられ、観る者をすこし癒やしてくれる映画でした。ノマド生活のコミュニティでの楽しさも描かれ、どんな状況になろうと逞しく生きる人間が描かれていました。

「ラストマイル」ではそのような映像美はなく、息が詰まるような都会の閉塞感が漂っています。これは邦画のひとつの特徴のような気もします。

先日リドリー・スコットが大阪の街を描いた「ブラックレイン」をNHK-BSのお昼の映画劇場で観ました。そこでは道頓堀のグリコに代表されるネオンの街を幻想的な悪夢世界のように描いています。コンクリートに囲まれている地下街ですら、リドスコ得意のスモークを効果的に加えることでヨーロッパのモルグのように見えるから不思議です。

そのような映像的な美しさを排してどこまでもドライに感じさせるのが「ラストマイル」の世界です。シェアードユニバースの中では、ゲストの登場人物たち(ミコトや志摩など)に負けない印象的なヒーロー・ヒロインが必要になってきます。

満島ひかり・岡田将生とも個性的な名優だと思いますが、シェアードユニバースの数々の名優達の中で燦然と輝けたかといえばすなおには肯首できないところです。スケールが小さく感じてしまうのは私だけでしょうか。

運輸業界側で活躍するのは怪優阿部サダヲ。中間管理職の悲哀と責任をうまく表現していました。それよりも印象深かったのは火野正平と宇野祥平のダブルショウヘイ親子。火野にとっては映画の遺作となりました。彼の職務を果たそうとするまさに普通の日本人像は強い共感を感じます。

夢はたせなかった息子の宇野祥平の姿は、多くの日本人の中に「あれは俺だ」という思いを惹起するのではないでしょうか。彼の夢の一端がラストシーンで活躍するのは痛快でした。

偏見ですが、私ディーン・フジオカという役者さんあまり好きでない。偽物くさく感じてしまう。ごめんなさい。

最後に監督の塚原あゆ子氏について。数多くのテレビドラマに関わってきて、最新作の「海に眠るダイアモンド」まで多くの名作を演出してきた彼女。「ラストマイル」は監督3作目ですが、今後映画表現を磨いて、いい作品を見せてくれることをとても期待します。

10話ほどの話数で見せていくテレビドラマと2時間の尺の中で表現していく映画ではその差異も多くあるだろうと思います。テレビドラマの単純な1話拡大版に終わらない作品の創造に大いに期待しています。

samon
samon

伸びしろ十分の監督と名脚本家の今後の作品を楽しみにしております。

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