透明人間

Movie
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リー・ワネル監督作品「透明人間」(AmazonPrimeVideo)を観ました。後半のCGや特撮(?)で見せる部分も楽しいが、前半のカメラが何もない空間を写すだけで、何かがいるように感じさせる演出がおもしろい。例えば、誰もいないキッチン。ベーコンエッグが焼けている。広角にとらえたキッチンが静かに映される。ふっとガスの火が強くなりやがてフライパンは焦げて炎が上がる。コンロの火力調節の部分は何かに隠れて見えない。スタッフが潜んでちょいとひねって火力を上げるだけだ。しかし、透明人間の物語を見ている私たちはそこに透明人間の見えない姿を見てしまう。エンディングで透明人間を倒した主人公の自由になった喜びの笑顔で幕を閉じ、観るものもカタルシスを感じるのだが、もし私が映画を観ているものでなく、主人公の近くにいる人とするならば、何も見えないものをひたすら恐れる主人公は、精神異常をきたした人としか見えないではないか。エイザベス・モスの鬼気迫る演技はその両面を感じさせて素晴らしい。いったい何が(どちらが)真実か分からぬ混沌の闇を感じさせ、実に恐ろしい。

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