
W記念演奏会。力の入った演奏でした。
結論
合同合唱のクオリティの高さ、「新世界より」のバランス良い演奏に行ってよかったと感じさせるコンサート
概要
感想
本コンサートのプログラムには企業広告がありません。これはたぶん行政(諫早市)からの資金援助があるからだろうと思います。つまり諫早市はこのオーケストラの音楽活動に理解を示し、音楽文化の向上に寄与しているということと思います。とてもうらやましいことです。
その諫早市の合併後の市政20周年記念と諫早交響楽団結成30周年のダブル記念演奏会がこのコンサートになります。力が入るのは当然ですね。取り上げた曲も1曲目は諫早讃歌「有明」という郷土を描いた邦人作品です。作曲したのは白石茂浩氏。
各地の郷土の曲を作り続けた作曲家といえば団伊玖磨をすぐに思い浮かべます。佐世保の海を描いた「西海讃歌」という名曲がありますし、長崎市の行事や原爆の参稼を音楽にした交響詩「ながさき」もあります。白石氏は団伊玖磨のアシスタントや彼の曲のピアノ編曲やオペラの副指揮者を務めた人。
白石氏は存命で、今公演のために来諫し演奏の前後に姿を観客に見せてくれました。2本の杖をついていらっしゃいましたが、自作の再演をきっと喜んでいることでしょう。
諫早讃歌「有明」は4つの楽章からなり、海・高原・川と諫早の自然を描き、終楽章で民の祭を音楽にしました。団伊玖磨作品同様、合唱団が加わって長崎市出身の風木雲太郎氏の詞を歌い上げます。今回の演奏のために集まった諫早のたくさんの合唱団は100人を越える大合唱団となり圧巻でした。

驚いたのは100人の合唱団で男声はかなり少ない、特にベースは9人しかいないのにとてもよく響いていたことです。ひとり一人がしっかり声を出していたことがわかります。
ですが合唱の演奏を聴いてよく思うことに、何と歌っているのか歌詞がわからないということがあります。プログラムに歌詞は書いてあるのですが、暗いので読めません。諫早の豊かな自然が歌われているのでしょうが、今回の演奏でも歌詞は判然としませんでした。これをクリアできれば感動は倍加すると思います。その点オペラは原語上演でも字幕が出るので歌詞が明確に分かって有利ですね。
さて曲に関しては、やはり団伊玖磨の才能のすばらしさを再確認しますね。西海讃歌の旋律は誰もが一聴で好きになるのではないでしょうか。有明にも団ゆずりの合唱のフーガも出てきますが、全体として名曲だといえるかはわかりません。
後半は最も人口に膾炙しているクラシック曲、ドボルザークの「新世界より」です。記念演奏会に適した選曲だと思います。ただしクラシックファンに感銘を与えられるかのハードルは高くなります。「新世界かー」と思う人が多いからです。諫早交響楽団の演奏はそのハードルを見事に越えたと思います。
特に弦楽器セクションはとてもバランス良く響いていました。2楽章ではベースのピッチカートが印象的ですが音程良く見事でした。最後のベースのみの2部のハモリもきれいでした。
同じく2楽章で弦楽器の人数が減っていって、最後にバイオリンとチェロのソロでのハーモニーがあります。これまで聞いた中で一番の音の統一感に驚きました。

指揮の河地氏はいつも見事に曲をまとめ上げてくれますが、各セクションへの指示が、ドボルザークの作曲技法を視覚的にも立ち上らせていました。
万雷の拍手によりアンコールが演奏されます。スラブ舞曲であることは予想できますが選ばれた舞曲はいつも聴くものと違っていて新鮮でした。チェロセクションは忙しいピッチカートで、今日演奏した中で一番難しかったのではないかと思います。見事にこなしていました。すばらしい。

諫早まで行って良かったと思わせるコンサートでした。次はモーツアルトの「プラハ」とのこと楽しみです。



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