誉田哲也 著「首木の民」警察小説の中で展開される財務省の嘘の暴露 刑事たちのキャラが楽しい

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samon
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ドラマ化された「ストロベリーナイト」シリーズ原作で知られる誉田哲也の新刊には、異色のキャラたる経済学教授登場。取調室内での講義が始まる。

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結論

愉快な刑事部屋のキャラクターの活躍で、ミステリーを楽しみながら財務省のうそが白日のもとにさらされるという不思議な小説。超オススメ。真実に近づきましょう。

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概要・あらすじ

大学の客員教授、久和が窃盗と公務執行妨害の容疑で逮捕された。運転する車の中から、血の付いた他人の財布が発見されたのだ。久和は内閣府が設置する経済財政諮問会議に参加したこともある経済政策通だが、警視庁志村署の佐久間に対し「公務員を信用していない」と言い、取調べは進まなかった。一方、財布の持ち主を捜していた志村署の中田は、フリーライターの菊池に行き着く。菊池は交通事故を探っていたが、その事故には財務省のある人物が絡んでいた。

googlebooksより引用

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感想

なんといっても「久和」教授のキャラクターが強烈です。警察に拘留され取り調べを受けても、たぶん何の同様も変化もない。あらゆる権力に対し屈することがない強さをもっています。

彼のキャラクターに巻き込まれていく佐久間。ついつい久和の明晰な講義を取調室内で頷きながら聴く、受講生になっていきます。読者も佐久間同様に久和の論理を感心したり驚いたりしながら聴いてしまうことになるわけです。

その講義の内容はずばり「財務省のインチキ」の暴露です。この日本の停滞の30年間ずっと言い続けてきた「緊縮財政」こそが正しいという財務省のデマが、理路整然と説き明かされて行きます。

ここまで聞くと堅苦しい経済小説か?と疑ってしまいますが、個性的な警察署のキャラクター達が、決してそうはさせません。

「サントス」こと中田三都巡査(女性)は「ちょっとふざけた」ような言動とともに抜群の行動力と推理力を展開して物語を軽やかにしています。

「ザワチョウ」こと横澤巡査部長は尻の大きな巨漢。佐久間が信頼をおいています。「サワチョウ」こと水沢巡査部長は爽やかでニュートラルな感じ。どのキャラクターもイメージがわきやすい。

話者が変化していくのもおもしろい。視点は、三都、佐久間そして現財務事務次官の谷口が交代で語っていきます。谷口は事務次官の先輩たる藤木のいうがままに動いてきた人間ですが、最後に大どんでん返しをする重要な役回り。ゆえに語り手としてピックアップされています。

作者の本書での意図は、財務省の嘘を暴露することにあるのは明白です。固いテーマであるがゆえ、三都ら警察が軽い雰囲気でコミカルに表現されることでバランスを取り、多くの読者に読んでほしいという狙いが感じられます。

一昨日(2025年1月29日)経済アナリストの森永卓郎氏がガンで亡くなりました。氏は亡くなる前日まで仕事をし、財務省のうそを語り続けました。

本書の巻末の参考文献には森永氏の「ザイム真理教」も挙げられています。森永氏の主張を、作者はミステリー文学の中で実現しようとしたのではないかと思います。久和教授のわかりやすい解説をとおして、そしてラストの谷口の心境をとおして、財務省の真実を多くの方に楽しみながら知ってほしいと思います。

samon
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「ストロベリーナイト」や「ジウ」シリーズとは全然違うタッチの本作を読むと、誉田哲也の筆の変幻自在を感じます。構えずふわっと楽しんでください。そして真実に近づきましょう。

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