アマプラの「夏のホラー特集」の中から、評価のよかった作品です。昭和感、日本映画のよさを感じられる佳編でした。
結論
今やおじさん俳優達の若き姿、タイプの違う女優陣の魅力、彼らを包む昭和趣味、乱歩趣味が堪能できる一作。観てソンは無し。
概要・あらすじ
真木栗ノ穴(まきぐりのあな)は、2007年公開の日本映画。四谷ラウンド文学賞を受賞し評論家に絶賛された女流作家・山本亜紀子による異色の小説「穴」を映画化。主人公の真木栗勉を演じるのは、数多くの映画に出演し日本映画界を代表す俳優のひとり、西島秀俊。また、妖しい女を演じるのは『夕凪の街 桜の国』の好演が印象に残る粟田麗。売れない小説家・真木栗の下に官能小説の依頼が舞い込む。しかし、官能小説など書いたこともないため筆が進まない。ある日、彼は部屋の壁に隣室を覗き見ることのできる穴を発見し…。
ネットより引用
古都鎌倉・切通し。古い木造アパートに住む売れない作家・真木栗勉(西島秀俊)は、部屋に2つの穴を発見する。西側の穴からは、隣室の佐々木(北村有起哉)をのぞき見ることができ、東側の穴をのぞくと、人は居らずちゃぶ台だけが見えた。ある日、真木栗は週刊誌の編集者・森本(利重剛)から官能小説の執筆を依頼される。しかし、真木栗に書けるはずもない。ただ時間だけが過ぎ去る中、真木栗は白い日傘をさし、アパートを見上げている女を目にする。女は部屋を探しているようだった。真木栗が西側の穴をのぞくと、女と佐々木が情事を繰り広げている。真木栗は“穴”から見る出来事をネタに小説を書きはじめた。
同上
感想
まだ細身の西島や、今やおじさんバイプレーヤーでドラマ常連の北村有起哉がボクサー的な役柄で、田中哲司は遠景ばかりで影が薄い姿など、とても興味深い。
女優陣も、妖艶なキムラ緑子や担当編集の木下あゆ美の初々しさなど、魅力的です。
何と言っても隣の美女役の栗田 麗の昭和的女性の美しさと男を取り殺していく恐ろしさなしには成立しない作品でしょう。
異なる3つのタイプの女性を上手に描き出した作品とも言えましょう。
乱歩的なのぞき穴から隣を見るという根源的背徳感を中心にしながら、「ヨガですか?」などの軽いギャグを挟んでいるのが映画を変におどろおどろさせていなくて好感が持てます。
安アパート、売れない作家、官能小説など昭和趣味を堪能させてくれつつ、鎌倉の切り通しがまるで異世界の出入口として機能し、日本映画のいい意味での閉塞感を楽しませてくれます。
あまり期待もせずに観た作品ですが、思いもかけず拾いものに出会ううれしさがありました。映画ってとりあえず観るべきということに気づかされました。アマプラにてよかったら御覧ください。ホラーといってもそんな怖くないので安心してどうぞ。
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