苦さ

Movie
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降旗康男監督作品「居酒屋兆治」(長崎市立図書館DVD)を観ました。以前観たとは思うんだけど、まったく忘れており、初見のおももちで観ることができた。これほどに何も覚えていないということは、以前観たときには意味がわからなかったのかも知れない。

降旗康男監督、撮影:木村大作、美術:村野与四郎、そしてキャストは高倉健、大原麗子、伊丹十三・・・。大原は寅さんで、影のある女を感じたと書いたが、今回はもっと悲しい落ちていく女を演じている。しかし、破滅的な彼女は酒を飲み過ぎて、血を吐いて死のうとも、絶対的に美しいのだ。(ああ、彼女のリアルな孤独な死がここでも重なってくるが、振り払おう。映画の美しさを胸に焼き付けよう)

健さんは、さよ(大原)の思いを知りながらも、現在の生活を壊すことはできないでいる。その煮えきらなさを、嫌な先輩(伊丹十三)は責め続ける。本当に嫌なやつだが、彼の存在が健さんの焦燥を嫌がおうにも際立たせることになる。伊丹の役は非常に重要なのだ。

「深夜食堂」にもいろいろな客が集まってくるが、ほとんど嫌なやつはいない。ほのぼのと暖かい。伊丹の役が大人の世界の苦さを代表してあぶり出すことになっている。苦さの中でも生きていかねばならぬ。兆治は今日も店を出すのだろう。

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