背筋 著「穢れた聖地巡礼について」風船男を軸に登場人物の戦慄の人生が語られていく

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samon
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「近畿地方のある場所について」の作者の紡ぎ出す第2作目ははたして

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結論

三つの章立てで各心霊スポットとその周辺の話はおもしろかった。主人公達の人生の描写とエンディングには?も

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概要・あらすじ

フリー編集者の小林は、YouTuberのチャンイケこと池田が運営する『オカルトヤンキーch』のファンブックを企画する。 池田が訪れた心霊スポットの追加取材記事は、あくまで“ヤラセ”のはずだった……。

googlegooksより引用

2023年1月下旬にカクヨムで『近畿地方のある場所について』を投稿開始。元々は友達を楽しませるために書いた短編だったが、好評だったため続きを書き進めていった。8月下旬にKADOKAWAより書籍化されデビュー[1]。同作で2024年「このホラーがすごい!」国内編1位を獲得した[2]

wikiより引用

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感想

「近畿地方・・・」でも登場した編集者小林が再登場。ユーチューバーの「チャンイケ」こと池田のファンブック編集の話し合いが物語の背骨になります。その中で取り上げられていく様々なエピソードで話が進んでいきます。

中途から、霊が見えるという関西弁の女「宝城」が話し合いに加わってきます。この3人が登場人物となり彼らの人生が深く語られていくのが前作との違いでしょうか。

前作では「ジャンプする赤い女」や山からきこえる呼び声「かきもあるよー」などなかなかに不気味なキーコンテンツが印象的でしたが、今回は「風船男」がそれにあたるでしょうか。登場する別々のエピソードを共通してつなぐのがこの頭がどんどん大きくなっていく人間です。

作者はこのように物語に共通する不気味なキャラ作りが上手いと思います。

心霊スポットへの突撃ユーチューバーである池田が配信した3つの動画が物語の柱となります。「変態小屋」「天国病院」「輪廻ラブホ」の3つです。おもしろい命名です。

巻頭に動画を静止画にしたカラー画像があり、なかなかにショッキングです。中でも「変態小屋」の個人写真の山とその中の1枚、女性の普通のスナップは刺さります。何の変哲も無いスナップ写真は眼の部分が黒塗りされているだけですが、普通さが実に不気味です。

3つの柱を中心に、本にするために関係するような小さなエピソードを3人が調べてきて紹介し合います。そうやって脚色を加えていく姿が描かれると同時にこの本自体がその体で表現されていくのがおもしろいですね。

登場人物3人の複雑な人生が語られるのは前作には見られなかった部分だと思いますが、私はこれが逆に深刻で暗く鈍重になっているような感じがしました。特に今回のヒロインである宝城は容姿等の表現があまりなく、関西弁の口調から大阪のおばはんの姿を空想してしまいます。ヒロインは美しくあってほしいのは欲張りでしょうか。

また本書の結末はいまいちだったように感じます。結構ロジカルな結末で、いわゆる実話系怪談のようなわけのわからない終わり方の不気味さはなかったように思います。「近畿地方・・・」のエンディングのような暗黒な感じが期待されていたんじゃないでしょうか。

ちなみに「近畿地方・・・」は文庫本版の内容が単行本版と異なると記されており気にはなります。まさかエンディングを整理して整合的にしているとか。図書館に出たら借りてみましょうか。

ところで私は本書も図書館で借りたので気づきませんでしたが、黄色いカバーを外すととんでもないものが出てくるらしい。夜にはカバーを外さないように気をつけましょう。

samon
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前半はなかなかおもしろいのでよかったら読んでみてください。

コメント

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