紺野天龍 著「聖女の論理、探偵の原罪」病院ブログ ラノベか本格ミステリか?

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samon
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病院の1日は長い。546ページの本書も進んでいく。

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結論

これまでの推理を最終章でひっくり返していく探偵の推理が爽快。最後の最後の引導を聖女が渡すバランスも見事。本格ミステリです

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概要・あらすじ

〈神薙虚無〉シリーズなどの著者による本格ミステリ長編。何でも見通す〈万象観〉という力を持つ聖女・聖天祢を擁する新興宗教団体〈科学の絆〉が舞台である。〈科学の絆〉は少々風変わりな教団で、宗教団体でありながら〈神〉を否定している。天祢いわく、この教団は「信者に正しい科学知識を身につけてもらうことが至上目的の学術組織」。一方で、〈科学の絆〉にはかつて信者が集団自決したという薄暗い過去もあった。その教団に、聖女のスキャンダルを狙って潜入調査をするのが元高校生探偵の新道寺浩平だ。とはいえ新道寺の目論見は天祢に早々に見破られ、逆に彼女と手を組むことになる。

ネットより引用

2016年、第23回電撃小説大賞に「ウィアドの戦術師」を応募し、2018年に『ゼロの戦術師』に改題してデビュー[1]

2019年、「朝凪水素最後の事件」を全面改稿した『神薙虚無最後の事件』を第29回鮎川哲也賞に応募し、最終候補作に選ばれる(応募時のペンネームは天童薫)[2][3]

2022年に刊行した『幽世の薬剤師』の作品紹介には現役の薬剤師であることが記されている[4]

wikiより引用

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感想

新興宗教の美少女教祖にかつて高校生名探偵ともてはやされたが今はうだつの上がらぬ男が主人公。ラノベというものはあまり読んだことがないのですが、舞台設定はラノベのような本作。

新興宗教「科学の絆」の教祖聖天祢(ひじり あまね)はとんでもなく美しく聡明に描かれ、各事件を鮮やかに解き明かしていくのはこの少女。高校生名探偵は序章と3つの事件でまったく活躍しません。ひたすら天祢の推理に感心するばかり。「科学の絆」に潜入捜査で入ったのに、完全に取り込まれてしまっています。

3つの事件は、いずれも宗教内部の関係者が引き超す事件。「<夏への扉>トンネル効果事件」ロバート・A・ハインライン著の「夏への扉」は大ベストセラーSF小説。冷凍睡眠で未来で目覚める主人公が、こんどはタイムマシンで過去に戻るというタイムトラベル物。

本作のエピソードでは、殺人事件の密室現場に「夏への扉」というまるでドアがあるように見えて、その実それは絵であるという特殊な現場に由来する。密室自体をミスディレクションさせるという面白いアイディア。

2つ目の事件は「科学の絆」の大口寄進者7名の豪華パーティ「七星会」でおこる冷凍殺人事件。シャンデリアの落下が証拠隠しのみそとなる。

3つ目の事件は「科学の絆」を破門になったマッドサイエンティストが量子テレポーテーション技術の発表会で殺される。上手の箱と下手の箱を移動する死体がポイントですが、文章だけだととても状況や様子が分かりにくい難点があります。もう少し図を増やすなどの工夫があったらと思いました。

雨月の新作「変な地図」では対照的にこれでもかと溢れんばかりの図を使っています。図が多いだけで何となく惹かれてしまう。

さてこれらの三つの事件はすべて「科学の絆」の関係者の殺人事件であり、しかも天祢の事件解決のあと、犯人はどれも青酸カリを飲んで自殺してしまうという悲惨な結末を迎えます。マスコミは天祢と「科学の絆」を問題視し、天祢は窮地に立たされます。

最終章はこれまでと大きく変わり、天祢を救うべく探偵がこれまでの事件の真相を推理して、ひっくり返していきます。天祢は黙ってしまい、探偵が滔々と推理を述べていくのです。

この展開は何となく予想できたことであり、真犯人もやっぱりねという人物であり、そこは作者は想定してのことでしょう。それまで傍観していた探偵を大活躍させるねらいはぶれてはいません。

そしてラストで犯人に引導を渡す役で天祢を登場させて、見事にバランスが保たれる仕組みです。この最終章では宗教や神の存在などについても言及され読み応えのあるクライマックスとなっていて見事です。

エピローグの田舎の花見もほっこりされられ、二人の恋の萌芽も感じさせる優しさにあふれたエンディングも心地よかったと思います。

samon
samon

546ページは大変そうと思いましたが、二人の魅力的な主人公に導かれ楽しく読むことができる一冊です。ぜひお読みください。オススメ

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