米澤 穂信著「栞と嘘の季節」読了 図書室と高校の校舎裏が織りなす青春ミステリー トリカブトの栞の秘密と美少女そして二人の男子高校生の推理はさわやかでもありほろ苦い

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samon
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米澤穂信好きなんですよ。「氷菓」などの「古典部」シリーズははまりました。あの高校ミステリーがまたやってきました。イエーイ!今回もシリーズの一環で、「図書委員」シリーズの続編ですね。少し暗くほろ苦かった。

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結論

高校をめぐる道具立てが懐かしく、誰もが共感する部分があるだろう。

多くの読者の共感をベースに、美少女と男子高校生二人の映像を読む者が自由に想像してつくりあげることのできる、まさに読書の最大の美点を感じる作品。

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概要・あらすじ

ベストセラー『本と鍵の季節』(図書委員シリーズ)待望の続編!
直木賞受賞第一作
猛毒の栞をめぐる、幾重もの噓。
高校で図書委員を務める堀川次郎と松倉詩門。
ある放課後、図書室の返却本の中に押し花の栞が挟まっているのに気づく。
小さくかわいらしいその花は――猛毒のトリカブトだった。
持ち主を捜す中で、ふたりは校舎裏でトリカブトが栽培されているのを発見する。
そして、ついに男性教師が中毒で救急搬送されてしまった。
誰が教師を殺そうとしたのか。次は誰が狙われるのか……。
「その栞は自分のものだ」と噓をついて近づいてきた同学年の女子・瀬野とともに、ふたりは真相を追う。
直木賞受賞第一作は、著者の原点とも言える青春ミステリ長編!

ネットから引用
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感想

高校の図書室の記憶はおありだろうか?私は結構よく図書室に行っていたので、今でも鮮明に残っています。私が通った図書室は比較的明るく天井が高かった。本作の舞台となる図書室は少し暗く、狭い印象です。それは時刻が夕刻や夜間であったり、主人公達以外ほとんど誰もいない状況からくる印象でしょう。

クライマックスの展開も夜間から深夜であり、舞台もクラブだったり廃屋なので、小説全体が少し暗い雰囲気につつまれています。

そんな中で、物語の鍵となる写真だけが若々しく輝いています。写真部員が賞を取ったその写真は、高校生の生き生きとした青春の発露を切り取ったもので、全体の暗い雰囲気の中で対比的に浮かび上がる印象です。

二人の男子高校生は、松倉がどちらかというと探偵であり推理を働かせます。堀川はワトソン的ではありますが、時折鋭い意見も言います。いわば二人が力を合わせていくバディものとも言えるでしょうか。どちらかがばりばりの天才探偵というのとは違います。この辺のふんわり感がリアルでもあります。

女子も個性的で魅力的。とんでもなく「きれい」な瀬野、お堅い図書委員長の東屋、上記写真のモデルである乃々香。彼女らの言葉は本当なのか嘘なのか、男子二人は翻弄され続けます。

トリカブトが封入された栞をもってダッシュで逃げる瀬野とそれを追う堀川と松倉の、一連のアクションシーンも痛快でした。目に見えるような描写がうまいですね。

samon
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シリーズ前作「本と鍵の季節」が今一つ地味だったのですが、本作は見事な大傑作となっています。当然第3弾を期待していまいます。「古典部」シリーズのように続くといいですね。皆様ぜひ読んでみてください。オススメです。

コメント

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