穂高唯希 著「#シンFIRE論」人気ブロガー「三菱サラリーマン」氏がFIRE後の今語る思考法 人や社会と関わる幸福の姿を訴える良書

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結論

FIRE達成のノウハウ本にあらず、幸福への主体的思考を高める方法論や著者の幸福の考え方が詰まった良書。読んでみるべし。

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感想

いわゆる巷に溢れるFIRE達成のためのノウハウ本とは全く異なる種類の書籍となっています。

30歳でFIREを達成した著者が、これまでの人生でわかった「主体的な思考法」が述べられています。

「はじめに」とする序文で、これまでの著者の人生がさっと語られます。そこでは、常に「自由」を渇望した様が浮き上がります。

三菱商事という大企業に入ったとき瞬時に彼の渇望する「自由」の無さをとらえ、そこから抜け出すためにFIREへの道を選択していきます。

自由は誰もが求めるものですが、私も含め多くの人が、自由を求めながら現状に妥協しあきらめてしまうのではないでしょうか。それを是としない著者の強靱さに憧れます。

意志力の最適化

「意思力の最適化」というくだりでは、日々の決断の連続に「決断疲れ」しないための具体的な手法が参考になります。すなわち脳の消耗防止のため「無の世界を構築」せよと述べられます。

具体策として、「机は聖域」。PC以外、本当に必要な物しか置かないこと。机上を「大平原にせよ」といいます。これすぐ真似できます。さっそくやってみました。スッキリして実に集中できますねえ。

「PCの窓はあけるな。隠せ」マルチタスクをかっこいいと思うことがあります。いくつも窓を開いて作業していると、自分ができる人間になったみたい。でも案外集中できないんですよね。

「パソコンのウインドウを多く開いたままにすると、パソコンのメモリを食うのと同様に、人間の脳も疲れます」その通りですね。できるだけ窓は閉じましょう。その意味では、本ってほとんど邪魔なものがないメディアですね。今後とも手放せないです。

投資の思考法

書名からFIREへの道筋のノウハウを求めた読者を失望させない為か、中間部に「投資の思考法」として7つのケースの投資プランが挙げ連ねてあります。しかし、いずれも20代から40代までであり、私の年齢はゆうにそれらをオーバーしています。

もはや60代は投資には時間切れなのでしょうか。

なお、この「投資の思考法」は章でなく「コラム」と位置づけられています。本書が投資ノウハウ本と違うという矜恃でしょうか。

社会と関わり、人の役に立つ人生

最終章で、たぶん著者が最も言いたかったことが述べられます。

いまがとにかくしんどいから、とりあえずFIREする。FIREに救いを求めてFIREをまず目的したってよいと思います。人によって事情はさまざまです。
 ただしいずれは、その後どう生き、どう周囲や社会と関わるのかに直面することになると思います。人間は人と関わり、支え合い、だれかの役に立ち、感謝されることで充実や幸せを感じるからです。

P384

さらに、あとがきでも。

FIREとは、ややもすれば、個人の幸福の最大化だけを考え、社会のことを考えない「個人主義・利己主義の権化」と思われかねない概念だと思います。
 しかし人は生きているかぎり、なんらかの形で社会にかかわり、貢献することに行きつくと思います。

P395

著者は34歳にして、人間の幸福のありようを提案してきます。橘玲の「幸福の資本論」とも通じるところを感じます。

すなわち橘氏のいう幸福の3つの資本「金融資本」を著者は30歳で築き上げ、今はFIREの自由の中で旅を楽しみ、農業を楽しむ「人的資本」を高めつつ、人と関わり利他を追及する「社会資本」が重要と述べているわけですから。

橘氏の主張に私は共感しましたので、本作の著者も連帯の友と考えています。

本書は単なるFIREノウハウ本とは全く存在を異にする、幸福のための思考法の書となっています。ぜひ読んでいただきたいと思います。

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三菱サラリーマン

著者の前著についてのブログです。よろしかったら。

samon
samon

土井首ふれあいセンター図書室に所蔵してますから、借りに来てねー。長崎市立図書館でも予約できますよ。

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