浅田次郎原作 ながやす巧 作画「壬生義士伝」完結 20年をかけてたった一人で描ききった劇画の至宝 最終刊13巻は次男貫一郎が盛岡に帰る感動の終末を描く

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結論

13巻表紙の如く、涙無しにはいられません。必読の書。

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概要・あらすじ

父の、母の、家族の魂が待つふるさとへ──。

猛吹雪の中、中間・佐助の手で越後の豪農の元へ送り届けられた“貫一郎”。顔も知らぬ父と同じ名前を与えられた末子、その後の運命は…!?

ながやす巧が漫画家人生を賭して描き上げた浅田文学、最終章!

ネットより引用
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感想

巻頭のカラーでの嘉一郎の最期のエピソード、菜の花の黄色が美しく忘れられません。色のパワーはすごいです。

嘉一郎を抱き上げる薩摩の将校はまんま役所広司。

母を呼びながら、カメラが引いていく最期はもうぼろ泣きです。

最終章次男貫一郎と名も無き取材者との対話は、盛岡までの蒸気機関車の中で展開します。

思えば、この取材者が全編を通じて登場し、様々に飛ぶエピソードに一貫性をもたせる重要な登場人物です。この構成が実にうまいですね。

父貫一郎の記憶が全くない次男貫一郎のエピソードがどう展開するか心配でありましたが、杞憂でした。

米の品種改良の学者である次男貫一郎。彼の開発した米でにぎったにぎりめしを食べながら取材者は、父貫一郎の最期のにぎりめしのエピソードを思い出し、涙します。

取材者の記憶として、父貫一郎を登場させる見事さ。もらい泣き必至です。

石高が少ないために金に苦労し続けた父貫一郎、そして飢饉が続き苦しんだ南部藩の人々を救う希望を運んできた次男貫一郎の盛岡到着でドラマは完結します。

岩手山に向かい、「今けえったぞ。何たるうまい風にごあんすか」故郷への帰還に涙する次男貫一郎にそっと寄り添う父貫一郎が描かれ、岩手山の姿がフレームを占めて完結します。何たる感動でごあんすか。

ながやす巧先生

何と先生は、長崎県生まれ!熊本県育ち。

デビュー以来、「人がいると気を使ってしまうので集中できない」との理由でアシスタントは全く使わない主義であり、背景やモブシーンも全て自らペンを入れる。2008年に貸本作家デビューから45周年を迎えるにあたり、短編3作と短期連載1作を収録したアンソロジー「画業45年記念出版 ながやす巧 作品集」が講談社から発売された。巻末エッセイでは『愛と誠』連載中は布団で寝たことがなく、『鉄道員』は原稿を全て描き上げてから掲載となり、他の連載作もある程度まとまった量を描き溜めておく場合が多いと述べている。

wikiより引用

アシスタントをつけずすべてを自分一人で描いていく。まさに漫画家とは身を削るような職業と思っていましたが、その最先端といえます。

しかし、様々なノイズに惑わされること無く作業できるともいえます。孤独ではあるでしょうが、芸術家とはそうしたものかとも思えます。

画家でアシスタントがいるなんてことはないでしょうから。

アシスタントとは、迫り来る雑誌の締め切りを乗り越えるための仕方ない方便なのかも知れません。

商業主義とは流れを異にするようなながやす先生のありようは一つの理想型と言えるのではないでしょうか。

samon
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全巻また最初から読み返してみたい。そんな名品の完結です。本当にすごい芸術家と思います。皆様もぜひ劇画「壬生義士伝」の世界へおいでください。超オススメ!公式のウェブサイトも充実しています。

コメント

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